初心者にとって難しいエフェクトだけど、必ず使わなければいけないエフェクトといえばコンプレッサーだと思います。けれど、音の変化がわかりづらく、また微妙な調整でも変化するためなかなか習得が難しいです。
そんなコンプレッサーの使い方を独学で学べる本が、すぐに使える「コンプ・レシピ」です。自分で練習しながらコンプの効き目や音作りを体験できるので、コンプレッサーが苦手な方にオススメです。今回はこの本についてレビューしたいと思います。
目次
すぐに使えるシリーズの一冊
すぐに使えるシリーズの一冊で、他にもEQ、ディレイ・リバーブ、コード進行に関する本があります。どれもかなりわかりやすいので、DTM初心者から中級者にかけてオススメの本です。
コンプの基礎がわかる
コンプというのは音量を時間経過とともに変化させていくエフェクトです。スレッショルド、レシオ、リリースなど、コンプを使う上で重要なパラメーターの情報を詳しく解説しています。今までの本だとさらっと解説して終わっているところですが、この本はわかりやすく丁寧なので、コンプが苦手という人がもう一度、最初から学び直すのにはうってつけだと思います。
さらにコンプの仲間のエフェクト、リミッターやディエッサー、マキシマイザー、マルチバンドコンプについても解説していますので、音量調整系のエフェクトすべてを学べる本になっています。ただ、音圧をあげる本ではなく、あくまでいい音楽を作り上げるためにエフェクターを使いましょうというのがこの本のメインの趣旨です。
耳で、コンプを使う前と使った後の音を比較できる
添付のCDの中に、コンプを使う前の音と使った後の音が入っています。またコンプの設定違いでA、Bと違う音作りの音が収録されています。使う前の音を自分のDAWに入れて実際に自分のコンプで試すこともできるし、数値を見ているだけでなく、自分の耳で確認できるのもこの本のいいところです。
楽器別にわかりやすく解説 半分はリズム系
ドラムやベース、ギター、キーボード、ボーカルなど、楽器やパート別にコンプの使い方が書かれています。特に数値設定が書かれていますので、リファレンス資料としても利用できます。
ここで重要なのはドラムに関して。リズム系は最も多くコンプを使うし、設定次第でリズム感やノリが大きく変わる重要なところ。この本ではポップスやロック、ジャズだけでなく、リズムマシーンを使ったヒップホップやエレクトロニカ系の音楽に至るまで、幅広いジャンルを捉えてコンプの使い方を説明しています。すぐに自分のやりたい音楽ジャンルの調整方法がわかるので、非常に便利です。
ミックスの最終にかけるマスターコンプを学べる
最後に少し量は少ないのですが、ミックスの最終段にかけるマスターコンプについても解説されています。最後に音をまとめるマスタートラックでのコンプレッサーやマキシマイザー、マルチバンドコンプレッサーの役割と、EQなど他のエフェクトとの兼ね合いでどう音楽が変化していくかがわかります。ついつい便利エフェクトを放り込んで終わっている人たちには、役立つ部分ではないかと思います。
これ一冊でコンプをマスターできる
この一冊でコンプの基礎から応用までしっかり学ぶことができ、自分の音楽に利用していくことができます。最近の音圧戦争でついつい海苔のような平べったい状態で潰してしまいがちですが、本来はより音楽的にリズミカルに調整していくエフェクトがコンプレッサー。ちゃんとした使い方をしっかり学ぶことは大切です。
コンプはよくわからないし苦手だなとという方は、ぜひ一度、読んでみてください。