ヘッドホン & イヤホン

作曲からミックスまでできるモニターヘッドホン!ヤマハ「HPH-MT8」レビュー

今まで密閉型はShreのSRH840を使っていたんですが、ちょっと不注意で壊してしまいました。そこで、新しいモニターヘッドフォンに買い換えようと思って、数々のリサーチをくぐり抜けて選んだのが、ヤマハの「HPH-MT8」です。
僕が使うクローズドのモニターヘッドホンだと、ソニーのCD900ST、ShureのSRH840に続き、3代目にあたります。モニターとしての性能はもちろんバランスに優れているのでかなり高評価です。SRH840も万能でしたが、音質はMT8の方が圧倒的に高く、金属部品を多用しているので本体の耐久度も高いと思います。
ネットでマイナス評価が書かれている点についても、音楽制作やリスニングの観点から見ると違う景色に見えてくることが多かったので、最後にその辺りも書いてきます。
あと買うときに、おそらくソニーのMDR-M1STとの比較検討すると思いますので、個人的な意見を書きました。

それではまず、開封からご紹介していきます。


開封の儀

Mt8 01

送られてきた外箱です。今回はサウンドハウスさんで購入しました。

Mt8 02

箱を開けたところです。中に緩衝材の紙が入っていて保護されています。

Mt8 03

そして商品の箱が登場です。

Mt8 04

箱はやっぱりかっこいいですね。シンプルなのにしっかり主張するヤマハデザインって感じです。

Mt8 05

箱を開けるとヤマハのロゴが描かれた内蓋。この下に商品が入っています。さすが2万超えのモニターヘッドホンは箱がしっかりしていて豪華ですね。

いよいよ本体や付属品とご対面

Mt8 06

まず出てくるのが説明書。その下が本体です。

Mt8 07

説明書を取り出すといよいよ本体とご対面。きっちり成形された紙製の枠の中に丁寧に収められています。

Mt8 08

本体の下にはモニターを入れる袋が入っていました。これは使わないのでこのまま入れておきます。
ここで気づいたんですが、このヘッドホンのケーブルは着脱式なんですが、肝心のケーブルがありません。この成形された箱の下にもなかったので一瞬焦りました。

ケーブルはストレートとカールの2種類

Mt8 09

探してみると、なんとヤマハのロゴが描かれた内蓋の裏に、ケーブルが入っていました。
これも本体を守る緩衝材の役割をさせられているんでしょうか。このパターンは久々なのでドッキリしました。

ケーブルはストレートとカール(コイル)の2種類

Mt8 10

ケーブルは2種類です。昔の電話のように伸び縮みして使いやすいカールコード(ヤマハのHPにはコイルと書かれていました)と、ストレートケーブルです。僕はストレートケーブルが好きなので、こちらを選択しました。

Mt8 15

こちらストレートケーブルです。長さは3mあるらしく、他メーカーと比べてかなり長めです。

Mt8 16

プラグはステレオミニなので、ステレオ標準で使うためには変換アダプターが必要です。
変換アダプターはカールコードの方に付属していたんですが、壊れたShureのものがそのまま使えたので、今回はそちらを使いました。

Mt8 14

ヘッドホンの左側にケーブル差し込み口があります。ここにケーブルを差し込んで完成です。

耐久性重視のボディ設計

Mt8 19

本体だけで350gもあり、他のモニターヘッドホンに比べると重いです。
ただ軽さを犠牲にして得たのが耐久力です。特によく壊れる耳周りやヘッドバンドのスライダーには金属を採用し、使用中に壊れるのを防いでいます。

Mt8 20

特にスライダー部分はプラスチックと金属の2重構造になっていて、柔軟性と剛性のバランスをとるようにしていることがすごくわかります。
これが重いと言われる原因でもあると思うんですが、耐久性を重視したい僕にはかなり効いたポイントでした。あと重さは使っていると慣れます。

音の高低、左右のバランスを聞き取れる

Mt8 12

ヤマハの設計思想「原音忠実」にふさわしいモニター性能だと思いました。
高域から低域まで非常にバランスよく聞き取ることができます。いろんな音楽も聴いてみましたが、音の高低や左右のバランス、空間の遠近などがしっかりわかります。同時に下手なミックスもわかるので空間の空きスペースや雑な音処理もすごくよくわかりました。(自分の曲を聞くとよくわかりますw)
ほとんどヘッドホンで作業をする人にはピッタリのヘッドホンだと思いました。

低域が弱いという評価は少し違うと思います

Mt8 13

よく商品のコメントに「低域が弱い」と書かれていますが、そこまで弱さを感じませんでした。
音の設計思想によるのですが、ヤマハはどんなオーディオ機器にも原音忠実とバランスを追い求めます。極端に低域だけ出す設計は基本しないというのがメーカーの方針。だからガンガン低域が鳴る、もしくは低域をフォーカスするような設計にはなっていません。
あくまで音楽全体の中での低域のバランスを考えられた設計なので、このヘッドホンに合わせてミックスしておけば、どんなイヤホンでもある程度バランス良く聞ける音源になると思います。僕自身は、締まりのある低域で聞き取りやすいと思いました。

ソニーのMDR-M1STとの比較

MP8を購入する人が必ず比較対象にするのがソニーのMDR-M1ST。ハイレゾ時代を見越したソニーの新世代モニターヘッドホンで、CD900STの後継と言われている商品です。こちらは多くの量販店でも置いてあるので街に出るたびに試聴していました。
音自体の解像度が高くて、低域も聞き取りやすい。音の分離もすごくて、楽器単体の音まではっきり聞こえるすごいモニターヘッドホンです。ただCD900STと同じく、すべての音が分離してくっきりはっきり聞こえるので、ミックスした時のバランス感が若干分かりにくいです。CD900STの特徴とよく似ていると思いました。
作業は基本モニタースピーカーでして、聞き取りにくい音だけヘッドホンを使うという使い方の人には向いていると思いましたが、僕のようにミックスも基本はヘッドホン、確認用でモニタースピーカーを使うという人にはちょっと向かないかなと思いました。
MT8で低域が弱いと思った方は、こちらを聴いてみると満足できると思います。
正直、お金があればこっちも欲しかったです。


ヘッドホンメインで作業する方におすすめ

Mt8 18

モニターヘッドホンとしては少し高いと思いますが、金額分の価値がある音質と使いやすさです。
特に上から下までバランス良く聞き取ることができるので、作曲もミックスもヘッドフォンを使って行う人にはかなり向いています。量販店では最近置いてないことも多いヘッドホンですが、プロのエンジニアさんたちの中でも評判のヘッドホン。
ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか。


-ヘッドホン & イヤホン