ソフト音源 & プラグイン

ギター音源の選び方、メーカーごとにご紹介

今の歌ものを作ろうとすると避けられないのがギターだと思います。
けれど僕のようにギターはFのコードくらいで諦めたという方も多いのではないでしょうか。
そういう方が必ず導入しようとするのがギター音源だと思います。とは言っても、たくさん種類もあるし、どれを選んだらいいかわからないという人も多いと思います。
そこで、今回はギター音源のおすすめメーカーとその特徴を書いていきたいと思います。

ギター音源の選び方

ギター音源は簡単なギターバッキングを生成するだけのものから、凝ったソロ演奏まで行えるものまで幅広くあります。そこで選ぶポイントをいくつか抑えていきたいと思います。

自分で作るか。パターンを使うか。

まずギターの演奏を自分で作るか。それとも搭載されているギターパターンを使うか選択することで選ぶ音源を絞り込むことができます。
バッキングを自動生成するものはキースイッチでパターンを組み替えていくだけなんですが、ある程度の範囲しかコントロールできないので、自分の曲にピッタリ合わすということが難しいことがあります。そういう場合は、ソフトのパターンに自分の曲を合わせていく発想の転換が必要です。
それに対して、演奏を自分で作れる音源は生ギターかと思えるくらいリアルな演奏が作れるんですが、操作が難しいです。特にアーティキュレーションや奏法を切り替えるキースイッチが多く、ギターを弾く肉体的な練度はいらないですが、打ち込みのスキルが必要になります。またボイシング(ギターらしい和音)を自分で作っていかないと、ギターらしくなりません。
自分のやりたいことと音源の能力を把握することが大切です。

価格が高い

ギター音源は簡単なバッキングだけ生成するものでも1万円くらい。リアルな打ち込みができるものだと、4〜5万円してしまいます。
本物のギターやアンプを買うよりは安いのですが、他の音源に比べればハードルはかなり高め。金銭的な落としどころを探すのもポイントです。

アンプシミュレーター必須

ギター音源でアンプがついているものも多いですが、個人的にはアンプシミュレーターは必須だと思います。
なぜなら質感が圧倒的に専用のアンプシミュレータの方が優れているからです。僕はkompleteについてきたGuitarRigを使用していますが、できればアンプシミュレータは別で用意しておいた方がいいです。
あとちょっと裏技なんですが、DAW付属音源でスチールギターのアコギの音にアンプシミュレーターをかますと、それなりにエレキギター音がします。買えない時はそれで急場を凌いでもいいと思います。

各音源にクセがある

ギター音源は各メーカーリアルさを追求するためにキースイッチなどでアーティキュレーションや奏法を切り替えていくんですが、これが各メーカークセがあります。
リアルな打ち込みができる音源ほど数が増えて難しくなり、簡単な音源ほどこだわれるポイントが減る傾向にあります。
どのあたりで折り合いをつけるかも選択するときのポイントです。

おすすめの音源を紹介する前に

ここからおすすめのギター音源を書いていきますが、メーカーごとに音源をまとめました。なぜなら、各メーカーで開発思想や打ち込みの癖が大きく違うからです。まずはメーカーの特徴を知る。それからギター音源を選ぶという順番で考えるとセレクトしやすいです。

リアルさを追求したサンプリング音源メーカー「Vir2」

まず最初に紹介するメーカーはVir2です。
サンプリング音源がメインのメーカーで、ホーンセクション音源などでも有名。ギター音源は、エレキとアコギの2つがあり、どちらも音が素晴らしいです。
アーティキュレーションも豊富にあり、多彩な演奏を再現できるんですが、打ち込むのが結構大変です。それなりの労力と引き換えにリアルなギターサウンドが手に入るといった感じの音源メーカーです。
打ち込み慣れしている人や、打ち込みにこだわりたい人向けのメーカーです。
このメーカーでお得なポイントは、ひとつの音源で複数のギターが揃えられるところですね。僕はここのメーカーを使っています。

8種類のエレキギターが手に入る「ELECTRI6ITY」

ストラト、テレキャス、レスポールなど8種類のギターが手に入るエレキギター音源です。
大量のキースイッチとでアーティキュレーションや奏法を切り替えてよりリアルな演奏を追求できるだけでなく、キーボードでコードを弾くと自動でギターのボイシングにしてくれる機能もあります。
リアルさ、音の良さ、ギターの数など、バランスが良く、お得感がありますね。特にテレキャスがあるのは珍しいです。
ただ大量のキースイッチを切り替えて演奏するのが初心者の人には難しいかもしれません。
■Kontaktで動く音源です。

“参考記事”
“Electri6ity_レビュー”


ギター、マンドリンなどのアコースティック音源「ACOU6TICS」

スチールギターやナイロンギター、ウクレレ、マンドリンなど6種類のギター系アコースティック楽器を搭載した音源です。
ELECTRI6ITYでかなり特殊だった機能がなくなり、多少は打ち込みやすくなっています。膨大なキースイッチがあるのでリアルさをとことん追い込めますが、打ち込みをどこまでこだわるか見極めるのが大変な時があります。
音はスーパーリアル。マンドリンなどの音源はなかなか手に入らないので必見です。
■Kontaktで動く音源です。



スーパーリアルギター音源メーカー「Prominy」

ギター音源ならここ!というくらいギター音源を中心に開発している日本のメーカーです。
ポイントは、ひとつの音源につき膨大なサンプルを搭載していること。例えばストラトの音源だと、64GBもあり、どこまでもリアルさを追求できる仕様になっています。
サンプルの録音や処理も丁寧で、コードごとのサンプルを収録するなど、こだわりがすごいです。ほぼギターだと言っても過言ではない音源だと思います。軽く打ち込んだだけでもギターサウンドになるんですが、キースイッチを多用してリアルさを追い込めるので、ギターの知識があればほぼ本物のギターになります。
僕もここの音源が欲しかったんですが、お値段がそれなりの価格するので手が出せませんでした。

ストラトの音源といえばこれ!「SC エレクトリック・ギター」

サンプル約123,000、容量64GBもあるフェンダー・ストラトキャスターの音源です。
トーンのコントロールなども含めてかなりリアルなストラト。様々なアーティキュレーションや奏法を膨大にあるキースイッチを切り替えていく操作性なので、どこまでもこだわることができます。
僕自身は価格のこともあり、購入を断念しました。
ギターへのこだわりが熱い人にはおすすめの音源です。
■Kontaktで動く音源です。


ロックギターといえばこれ!「LPC エレクトリック・ディストーション&クリーン・ギター」

こちらはサンプル約150,000、容量が60GB以上もあるギブソン・レスポールのギター音源です。
あの太くて暖かみのある独特の音を再現しているので、ほぼ本物のギターのようです。
SCと同様に大量のキースイッチでとことんこだわれるところが嬉しいところ。価格に見合う成果を出せる人にはおすすめです。
■Kontaktで動く音源です。


大容量アコギ音源「Hummingbird」

約80GB、サンプル約89,000もあるギブソン・ハミングバードの音源です。
こちらもサンプルの収録が丁寧でキレイ。特にアコギらしい音の余韻や響きがいいですね。
ただこちらも大量のキースイッチでコントロールするタイプなので、とことんリアルにこだわれる音源だと思います。
価格はそれなりにするので、価格以上に使いこなせるならばおすすめです。
■Kontaktで動く音源です。


V-METAL

メタルサウンドに特化したギター音源です。
ESP・Alexi Blacky音を収録しておりかなりスーパーリアル。メタル独自の奏法を搭載するなど、様々なこだわりが詰め込まれています。
このメーカーでも後発に出たからか比較的使いやすいらしく、メタル系の曲を作る知り合いがよく使ってました。
ジャンル特化の音源なので、メタル特化で作っていくというタイプの方におすすめです。
■Kontaktで動く音源です。


比較的打ち込やすいギター音源を作る「Music Lab」

僕がギター音源を買うときに相談したプロの人がおすすめしてくれた音源です。
昔はちょっと音がしょぼいかなという印象があって選ばなかったんですが、現在はバージョンアップされ、リアル寄りになっていると思います。
この音源の最大の特徴は、専用音源による打ち込みのしやすさ(他の音源はKontaktが多いです)。コードとフレーズを選んで当てはめていくと、バッキングが完成する機能があります。
またキースイッチ奏法などを切り替えて、リアルさを追求することも可能です。
初心者の方からおすすめできるギター音源です。

「REAL STRAT 5」

打ち込みがしやすく、さらにバッキングが比較的簡単に作れるストラト音源です。
昔は音がいまいちな印象がありましたが、久々に聞いてみるとかなり改善されていて、今ならこっちを選んでもいいかなと思いました。ジャンルを問わない多彩な使い方ができる音源なので、ギター音源の最初の一歩に選ぶならこれかなと思います。


REAL LPC 5

こちらはレスポールのギター音源です。
ロックやブルースなどに合う太めで暖かみのある音が再現されています。しかもこのメーカーならでは打ち込みのしやすさは健在。
レスポールのギターを入れたいけど、ギターの打ち込みが難しそう・・・と考えている人は、これを選択肢に入れてみてもいいと思います。


REAL Guitar 5

こちらはアコースティックギターの音源です。
シンプルなアコギ音でいろんなジャンルで使いやすいと思います。打ち込みもしやすく、よりこだわりたい人には、とことんこだわれる機能もあるので、いろんなタイプの人におすすめできます。


さらっとギターバッキングを入れたい人に「Native Instruments」

Kompleteという音源バンドルの中にいくつかアコギ、エレキギター音源が複数入っています。
Ultimateというグレードのバンドルから上は、すべてのギター音源が入っているんですが、ソロができるものはエレキ音源のひとつだけで、アーティキュレーションも少ないです。
ここのメーカーのギター音源の特徴は、簡単バッキング。決まっているパターンをキースイッチで切り替えて曲に当てはめていくものなので、複雑な打ち込みはできません。その代わり、音はよく、簡単に自分の曲の中にギターサウンドを取り入れられるメリットがあります。ある素材を当てはめるトラックメイキング的な曲作りをする人には向いている音源です。

ただひとつだけ異質なギター音源があります。「Funk Gitarlst」はギターのカッティングパターンに特化した音源で、複雑なリズムパターンなどをキースイッチの切り替えて簡単に作り出すことができます。(ただクセが強いです。)上の動画で貼ってる春恋華憐という僕の曲で使っているカッティングは、この音源を使用しています。

“関連記事”
“Komplete_13_ultimateレビュー②(生楽器・サンプリング音源篇)”


簡単バッキング系ギター音源「UJAM」

最近、話題のメーカーUJAM。シンセ系や流行りの音をすぐに取り入れた特化型音源を次々と開発するなど、すごい勢いでシェアを伸ばしてきているメーカーです。そのスタートは昔Cubaseに搭載されていた簡単ギターバッキンングプラグインの「Virtual Guitarlist」。搭載されているパターンを組み合わせて、バッキングを作れるタイプのものです。ソロ演奏はできないですが、打ち込みが簡単なのが特徴です。ギター音源はいくつか発売されていますが、その中でもおすすめのものひとつをご紹介します。

進化した簡単ギター音源「IRON2」

ポップロック系などに向いている音源で、簡単にバッキングを制作することができます。
IRONは2なってから、自分でバッキングパターンを制作できるようになり、かなり曲作りの自由度が高まりました。簡単なソロもバッキング機能の短音を鳴らす機能で演奏することも可能ですが、基本的にはロックポップ系の曲でバッキングを簡単に作れる音源。
使い方がとにかく簡単なので、初心者の方にもおすすめです。



後悔のないギター音源選びを

いくつかギター音源メーカーをごとにまとめて紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
簡単にバッキングだけ打ち込みたいならUJAM。ソロも含めて打ち込むならMusic Lab。いろんなギターを揃えるならVir2。徹底したリアリティを追求したい方はProminy。と言った感じでメーカーが分かれてるのがおわかりいただけたと思います。
僕はVir2とUjamをメインにワンポイントだけならNative Instrumentsなんかを使っています。

自分の制作スタイルもしっかり考えて、いろんな音源を見てから決めてください。

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