久々にボカロ曲をミックスしたんですが、買って使っていなかったプラグインを使ってみようと思ってWavesの「Jack Joseph Puig Signature Series(以下JJP)」を使ってみました。
EZmixやiZotopeなど、他社が簡単ミックスプラグインを出し始めた時にWavesが出した有名エンジニアのミキシングを簡単に再現できるSignatureシリーズのひとつです。Chris Lord AlgeのCLAバンドルが人気ですが、僕は天邪鬼なので、Tony Maseratiのバンドルと今回ご紹介するJack Joseph Puigのバンドルをセールと安売りチケットで購入しました。買ったこと自体忘れていたんですが・・・
ということで、今日はJJPのプラグインについての解説と使用したレビューを書いていきます。
目次
グラミー賞を獲ったエンジニア「Jack Joseph Puig」
Jack Joseph Puigさんグラミー賞も受賞したこともあるプロデューサー・エンジニアさんだそうです。U2、ブラック・アイド・ピーズ、ジョン・メイヤー、レディ・ガガ、ベック、ローリング・ストーンズなどを担当したことがあるそうで、対応されているジャンルは広めですね。
正直エンジニアさんなどは詳しくないので概略だけの説明になりますが、プラグイン自体も今の制作ジャンル状況に汎用的に使えるかなと思って選んだと思います。
バンドルは「楽器別に対応した6プラグイン」
プラグインはVocal、Guitar、Strings & keys、Drums、CYMB & PERCの6つ。他のSignature Seriesと違うところは、Stringsに対応したプラグインがあることと、Drumsがキック、スネア、タムに特化したものと、シンバルやパーカッションに特化したものに分けられていることですね。特にStringsがあるのは珍しいので、購入の選択肢になりました。
エフェクトとしては、コンプ、EQ、空間系が混ざったもので、いくつかのフェーダーとノブを操作するだけです。細かなことは気にせず、耳で聞いていいところで合わせるといいでしょう。JJPはいじれるパラメーターが少し多めなので、プリセットを選んでそこから追い込んでいくタイプの人でも、自分の目指す方向の音作りができると思います。
それでは、各プラグインを解説していきます。
あらゆる声質に対応できる「JJP Vocal」
ボーカル用のプラグインでCLAの次にプロの人でも使っている人が多いと評判のプラグインです。CLAに比べると汎用性が高いかなと個人的には思いました。プリセットもそれなりにありながら、男性を2種類と女性1種類、合計3つのパターンを選択することができます。
特に個性的だと思ったのは「Magic」という名前のフェーダーで、高域のどこかのEQをブーストするのがメインのパラメータだと思うのですが、すごく音の抜けが良くなります。また空間系もそれなりにかかるので、別でリバーブをかける場合はSpaceを少なめにした方がいいかなと思いました。
またAttackやAttitude、Prsnceは音の太さや音の存在感などが調整できるので、オケと混ぜながら調整するといいかと思います。
しっかり存在感を出せるし、ボーカルの下処理はこれでほぼできてしまうので、めっちゃ便利でした。
ジャンル別のセッティングがある「JJP Guitar」
ギターにはプリセット以外に、ロック、R&Bなどのジャンル、クリーントーン、Chugなどの奏法別のセッティングがあります。Chugのセッティングは、はじめてみました。
これもギター関連の基本処理をひとつのプラグインで処理できるので、かなり便利だし、複数のジャンルに対応できると思います。
今回は、クリーントーンのカッティングと、歪み系のギターに使ってみましたが、どちらもギターの音をブラッシュアップしてくれて助かりました。こちらもしばらく使っていこうと思います。
珍しいストリングスに対応「JJP Strings & Keys」
ストリングスやシンセ、鍵盤系の基本処理をしてくれるプラグインです。特にストリングにはhiとLoという二つのセッティングがありました。他のJJPプラグインと比べると、音作りというよりはストリングスの定位や存在感を調整できるプラグインと考えて使うといいと思います。
ストリングスは結構難しいので、初心者の人にはうれしいプラグインではないでしょうか。
ベース音が太くなる「JJP Bass」
かなりベースの音が太くなるプラグインだと思いました。今回は生音系のベースに入れてみたんですが、かなりベース音が太くリッチになりました。
ただ自分が作りたい芯のある歯切れのいい音が作れなかったので、別のプラグインを使うことになりましたが、ロック系やEDM系のベースに入れてみると効果が高いと思います。
SUBという低域を補強するパラメータがあるので、今度、EDM系を制作する時に使ってみたいと思います。
キックJJP Drums
こういう簡単プラグインはドラムはドラムでまとまってるんですが、JJPではキック、スネア、タムなど太鼓系に特化したプラグインと、ハイハットやシンバル系の特化したプラグインに分けられています。
こちらは太鼓系のプラグインで、楽器の種類やマイクのポジションでセッティングが変えられるようになっています。キックはそれぞれの音作りがあると思うのですが、硬めのものから響きを重視するもの、軽めのものまでいろんな音作りができました。
今回はかぶりの多い生音系ドラム音源を使ったんですが、うまくフィットしたので、とても満足しました。使い方を覚えたのでしばらくはこれを使うと思います。
JJP CYMB & PERC
こちらはハイハットやオーバーヘットを中心に使うプラグインで、空間作りも含めた音作りができると思ってもらっていいと思います。
特にオーバーヘットはライドやクラッシュのメインでありつつ、他の太鼓の音も被ってくるので処理が難しいんですが、プリセットとフェーダーを動かすだけで上手く処理できたので、本当に助かりました。こちらも今後使っていくと思います。
注意点はかかりすぎること
JJPはすごく使いやすいし基礎的な音作りはこれだけで完成できそうなくらいクオリティが高いのですが、若干エフェクトかかりすぎてるのでは?ということがあるので、そこは自分で調整が必要かなと思います。
FXチャンネルでリバーブ関連を混ぜるとは思うのですが、深くかかりすぎる場合があるので気をつけてください。
とはいえ、ポイントをついた調整が自動できるので、うまく利用すると初心者や中級者の方は、かなり作業をスピードアップできると思います。
次の曲も使っていくプラグイン
今回はじめて使ってみたんですが、Vocalプラグインはかなり使いやすく、初音ミクとも相性がよかったです。
その他のプラグインも基礎的な音作りをするのに十分だし、ロックやポップス、EDMっぽい曲まで汎用的に使えるものでした。次の曲は違うジャンルでこれを使ってみたいと思います。
興味を持たられた方は、昔みたいに高額ではないので、ぜひ一度、使ってみてください。