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【2024年】モニタースピーカーの選び方&おすすめ製品

DTM初心者の人はまず打ち込みと作曲の練習や勉強が主になるので正直ヘッドホンだけで十分ですが、ある程度、曲作りができるようになると必要になるのがモニタースピーカーです。特にミックスという音楽としてのバランスを作り上げて行く作業では必須なんですよ。
実は仕事でオーディオ系の広告も作ってたので、スピーカーやイヤホン、ヘッドホンには知見もたまってます。宣伝費もいただいてませんので、今回は忖度なしで選び方やオススメ機種をご紹介していきたいと思います。

どうしてモニタースピーカーが必要?

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作曲をしているときはヘッドホンでもいいんですが、ミックス段階になったときに、楽器の重なりやエフェクトのかかり具合だけでなく、「定位」という音が鳴る位置や奥行きなどを作り上げる時にスピーカーは重要です。作曲というよりは音響的な確認で必要になります。
ヘッドホンでもできないことはないんですが、スピーカーで聞くとそれが鮮明にわかるんです。いいヘッドホンだと定位もわかるんですが、違う再生環境を用意して多角的に音を聞くことで、いろんな再生環境に対応できるようになります。
僕の場合はネットで聞いてくれる人が多いので、最終は3000円ほどのイヤホンとiPhoneで聞きます。またラジオCMなんかはラジカセで最終確認したりします。
曲を聴いてもらえるようになると、作曲以上に音響的なことが重要になりますので、その段階に達したら購入すればいいでしょう。

どうしてスピーカーのメーカーはこんなにあるのか?

大量のスピーカーやオーディオメーカーがあるのには理由があって、実は人間によっていい音の基準がバラバラなんです。
よく周波数特性を出してスピーカーを評価していますが、スペックだけではいい音はわからないんですよね。
昔、DTM界で有名なライターが周波数特性でいい結果が出なかったと書いたために、性能がよかったのに売れない機器が出ました。安かったので僕はそれを買ったのですが、正直めっちゃいい機器でした。
だから、オーディオ関連でスペックは当てにならないことが多いです。各社、自分たちがいいと思う音を作るんですよね。そこで大きく好みが別れてきます。

リスニング用とモニター用スピーカーの違い

リスニング用とモニター用ではスピーカーの特性が大きく異なります。
まずリスニング用ですが、あらゆるメーカーが「僕の考える最強に音楽が楽しいスピーカー」を作るので、エゴが出まくりです。音がいいではなく、「音楽が楽しい」というところがミソで、音楽が楽しければ、最悪この音は鳴らなくていい!目立たなくていい!という極端な開発をしているものもあります。
昔、AVアンプが出始めた頃「映画の映像にある音がスピーカーから出ない!」ということがたまにありました。これはオーディオだと「目に見えないんで鳴らなくていいや!」としていた開発思想が原因です。
それに対してモニター用は、音の確認というものが中心なので、音楽を聞いていて楽しくなる要素を省いています。
ある意味、原音忠実。各メーカーも全体のバランスや音のミックス状況、定位などがわかりやすいスピーカーを目指すんですが、これも各メーカーが「僕の考える最強のモニタースピーカー」を作るので、結構違いが出てきます。

最近のモニタースピーカーの特徴

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モニタースピーカーもいろいろあるのですが、DTMで使用する最近のモニタースピーカーには特徴があります。特に初心者や中級者クラスが使えるスピーカーはだいたい同じ方向になっているので、その特徴をまとめたいと思います。

ツーウェイスピーカー or 同軸スピーカー

最近のモニタースピーカーは高域の音を出すツイーターと中低域の音を出すウーハーという2つの部品が二つ並んで配置されている「ツーウェイスピーカー」というのが主流です。かなり熟成された技術ですので、比較的安い価格でもいい音が出せるのが特徴です。
それに対して、いま注目されているのがツイーターとウーハーがほぼ同軸上で並ぶ「同軸スピーカー」です。見た目はウーハーの真ん中にツイーターが付いている状態です。こちらは、ツイーターとウーハーがほぼ同じ位置に並ぶのので、音のズレが限界まで減らせるというのがポイントですが、振動周波数の違う部品がほぼ同軸上に並ぶので高い工作精度が必要とされていました。ただ最近、低価格で同軸スピーカーが出てきて話題になっています。

バスレフ構造

アコースティックギターやバイオリンなどの弦楽器には、音を増幅させるための空洞が作られいます。これがないと音が大きくならないんです。
スピーカーも特に低域は増幅しないと音が小さいため、スピーカー内部に音を増幅できる空洞を設けて、増幅した音を外に出すバスレフ構造が採用されいます。いまのスピーカーはほぼこの構造です。低域の音を強くするためには、ウーハーを大きくするのももちろんですが、このバスレフ構造を大きくすることで、低域を含めた音を増幅することができます。

入力端子

AV機器で使われる赤白のRCA端子、ケーブルを長くしても大丈夫なバランス接続できるTRSフォーン端子やXLR端子、光デジタル端子など様々な接続端子があります一般的にはバランス接続できるXLR端子の方がケーブルを10m以上でも引けるのでいいように思われていますが、出音は様々なので端子やケーブルで音が変わるのは、かなりの高級品を使わないとわかりません。
むしろ入力方法で選ぶよりも、スピーカー自体の音で選ぶのが第一。ただ自分が持っているオーディオインターフェイスと繋げられるかは確認してください。

パワードスピーカー

ツイーターやウーハーを駆動させるためのアンプという部品が内蔵されいてるスピーカーです。現在、DTM用のモニタースピーカーはこのタイプが主流で、オーディオ用のようにアンプとスピーカーが別れていません。またツイータ用とウーハー用にそれぞれ別のアンプを採用するバイアンプシステムというものもあります。確かに駆動力には余裕ができるのですが、それが確実に自分の求める音になるかは別物だったりします。
ちなみにですが、小さいスピーカーの方が駆動力が小さくていいだろうと思われがちですが、でかいスピーカーの方が駆動力がいらないことが多いです。JAZZ喫茶とかで真空管のアンプでバカでかいスピーカーを鳴らしているところがありますが、アンプの駆動力が小さいものが多いです。よくアンプをパワーで語る人いますが、これも数値がいい音の基準として機能しない例ですね。

デジタル処理

最近は中にDSPという部品を入れたりして、音をデジタル処理してから出すタイプもあります。スピーカー素材の特性を分析した上で調整されているので、小さな音量でも高域から低域までバランスよく音が出せるようになり、特に小型スピーカーで音のいい製品が生まれるきっかけになっています。
またAVアンプのように、マイクで部屋の音響環境を分析して出音を変えられるものも出始めました。これから先は、デジタル技術で音がさらに変わる時代が来ると考えられています。

モニタースピーカーの選び方

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モニタースピーカーはヘッドホン以上に選ぶのが難しいです。この技術がいいとか色々ありますが、最終的には自分の耳で聞いて、いいものを選んでください。

安物は買わない

もう安いスピーカーを買うくらいなら、買わない方がいいです。ヘッドホンのいいものを買った方がいいです。それくらい安いものはダメなものが多いんです。
金額でいうと2万以上、できれば5万以上のものを買うと幸せになります。あと同じモニタースピーカーでも、メーカによって違うし、聞く人でガラッと評価が変わるものも多いです。もし音がわからないという人は人気の製品を選ぶ方がベターです。なぜなら気に入らなかった場合、オークションなどで売って次の機種に買い替えできますから。

迷ったらデカイ方

迷ったらデカイ方を買ってください。デカイ方がウーハーのユニットも大きくなるし、バスレフ構造にも余裕ができるので、低域の音質が大きく変わります。逆に小さいスピーカーは技術的なもので解決しない限り、低域が弱くなります。もし迷ったらデカイ方を選んだ方が幸せになれます。

部屋で鳴らせる音量を考える

DTMをやっている人で、お部屋にデカイスピーカーを置いて大音量で鳴らせる人は少ないと思います。それなりの生活環境の中で機材を買い揃えている人ばかりだと思うので、どれくらいの音量を出せるのかは重要です。
お店で聞くときも、自分の部屋で出せる音量の限界を覚えてから聞き比べてください。大きなお店だとズラッと並んだスピーカーをそれなりの音量で聴き比べられるのですが、家に持って帰って小さい音量にするといい音がならない!ということも起こるからです。

セッティングは大切

お部屋を改造できないまでもスピーカーの位置や高さ、セッティングにはこだわってください。
ツイータを直線距離で結んで耳と合う高さや角度に調節する。スピーカーを60度の角度で内側に向けて、その交差するところに人間が座るようにするなど、基本のセッティングをしっかり抑えることが肝心です。これだけでも最適なモニター音になるのですが、さらに追い込む人の場合は、スピーカーの後ろに板を置いて音を反射させたり、クッションを置いて吸収させるなど、部屋に合わせたセッティングをしていきます。
意外に初心者の人はこの辺りを適当にしてしまうので、要注意です。

おすすめのモニタースピーカー

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ここからはおすすめスピーカーのご紹介です。価格帯としては、最後のおまけ以外は、2万から10万くらいのものでセレクトしました。
他サイトの比べておすすめが少ないと思われる方も多いと思いますが、自分が聞いて気に入ったものやおすすめできるものだけ書いているからです。
もう少し安いものでいい音の製品を!と思ったのですが、長く使える製品ですので、ここは妥協せずにいいものを買うようにしてください。またアマゾンや楽天にはない商品も多いのでご注意ください。

IK MULTIMEDIA

ソフト音源やエフェクトなどで有名なメーカー。ハード機器にも力を入れて入れていて、スピーカーは最後発ながらヒット商品を出しています。実際、安い価格でかなり音質がいい製品を作っている注目のメーカーです。

i Loud Micro Monitor

これが出た時に多くの人々が衝撃を受けた製品です。ウーハーが3インチでコンパクトなのに高音質。普通このサイズだと低域が弱いなと思うんですが、サイズ感を超えた低域再現能力があります。
秘密は中身にあって、DSP搭載でスピーカーのシステムを最大限に活かせるモニター音が出せるように調整できているからだそうです。プロからの評判もよく、僕も聞きにいきましたが、かなりいいと思います。価格もペアで5万円切っているので、今、初心者の方にいちばんおすすめです。


iLoud MTM

サウンドハウス

Micro Monitorはやはり3インチウーハーということ、またボディも小さいので少し低域に不満が残る製品でした。それを克服したのがこのiLoud MTM。
3.5インチのウーハーを2つにして、真ん中にツイータを配置する構成に。DSPでのコントロールや少し余裕を持てるようになったボディ構造のおかげで、不満のでないモニタースピーカーになりました。もしMicro Monitorで不満が出たら、こちらを聞いてみてもいいかなと思います。ただペアで9万くらいと価格も上がりました。


YAMAHA

ヤマハの設計思想は昔から一貫していて「原音忠実」です。
オーディオ製品でも、いかにコンサートホールや録音した音源の狙いを再現するかにこだわっているので、多くのファンがその思想に共感しています。モニタースピーカーでは、昔、NS-10M(通称テンモニ)という白いウーハーが特徴的な製品が日本中のスタジオで使われていました。いわば日本のモニタースピーカーの大御所的存在です。

MSPシリーズ

原音忠実のヤマハが作り出したパワードスピーカー。
かなり昔からある機器なんですが今だに人気です。質実剛健で音もしっかりしているので、僕も最初のモニタースピーカーはこれでした。サイズでMSP3、MSP5、MSP7とありますが、MSP7はかなり大きいので、オススメは5インチウーハーのMSP5です。一番コンパクトなMSP3は最近リニューアルされて、MSP3Aとなり、少し課題だった低域部分が改善されました。



HSシリーズ

MSPシリーズの後に出た製品です。
NS-10Mをイメージさせる白いウーハーが特徴で価格も安いです。個人的にはMSPシリーズの方が好きなので買い換えしませんでしたが、それなりに使えるモニタースピーカーです。HS5、HS7、HS8とラインナップがありますが、買うなら5インチウーハーのHS5が値段もサイズ感も音もバランスが取れていて、DTM環境ではおすすめです。


ADAM AUDIO

1999年に設立されたドイツのスピーカーメーカーで、原音忠実、高解像度という実直な音作りで高く評価されています。ペアで低価格なものもあり、プロからハイアマチュアに人気。実は、僕もここのスピーカーが欲しかったです。

低価格で低域までしっかり鳴る「T5V」

自宅スタジオなどで使えるコンパクトサイズで高音質のスピーカーが「T5V」です。フラックシップモデルと同等の技術も取り入れながら、コストダウンとサイズダウンをしてきた製品で、高域の伸びも低域の締まりもかなりいいスピーカーです。優秀な内部設計だし、アンプのパワーもあるし、搭載しているDSPで音質もしっかりコントロール。このスピーカーをペアで5万円台で出してきたのがすごいです。


サウンドハウスで見る

Rock oNで見る

EVE AUDIO

現代的なテクノロジーで生み出された素材を、DSPで制御してサイズ以上のモニター環境を生み出す、現代のモニタースピーカーの流れを作ったドイツメーカです。小型のスピーカーSC203が出た当時、小さなボディからは想像できない低域再現で話題になりました。
ここのメーカーのもう一つの特徴がDSPで制御しているため小音量でもバランスがとれたモニター音が出せることです。ある意味、ホームスタジオ向けのメーカーだと思いますが、最近は他のメーカーに押され気味な印象があります。

SC203

ノートPCと組み合わせたコンパクトな制作環境向けにつくられた小型スピーカー。バスレフ構造ではなく、パシッブラジエターという新構造を採用した密閉型。フロントのウーハーが駆動する時に発生する空気圧を利用してラジエターを動かし、低域を発生させることができます。僕が今だに愛用しています。


“参考記事”
“小さい&高音質モニタースピーカーSC203レビュー”

SC204 SC205

SC204とSC205はバスレフ構造&DSP搭載という現代のモニタースピーカーの流れを作った名機です。SC203のようなサイズの制限がないため、特に低域に余裕があります。SC204が4インチウーハー、SC205が5インチウーハー。個人的にはSC205がおすすめです。



GENELEC

フィンランドの音響メーカーで1978年創業。それなりに歴史のあるメーカーでありながら、貪欲に新しい技術や素材を取り入れてものづくりをしているメーカーです。日本やアメリカのオーディオメーカーが古い技術に固執して失敗していったのとは対照的でした。現在では誰もが憧れるモニタースピーカーの代表的メーカーです。
欲しいんですが値段が高いので、他のメーカーを選んでしまいがちです。

8010AP

いちばん小さいGenelecのモニタースピーカーです。昔は小型で使えるモニタースピーカーはこれしかなかったです。今はDSP搭載のスピーカーが小型でもそれなりの音を出してくれるので、昔ほどの憧れはなくなりましたが、お金があれば欲しい一台です。


おまけ the onesシリーズ

サウンドハウス

1台30万円以上する同軸スピーカーシリーズです。
低域担当のウーハー、中域担当のスコーカー、高域担当のツイータを同軸上に配置するという高い精度が要求されるスリーウェイスピーカー構造。さらにSAMというソフトを使って部屋の音鳴りを分析し、最適な音場にDSPが調整するため、どんなお部屋でも最適なモニタリング環境を実現できるという優れものです。
新技術や新素材を導入しまくっているため、値段もペアで軽自動車が買える値段になりました。アニメ等の音楽を手がける澤野弘之さんが使っているらしいです。一回イベントで聞く機会があったんですが、めっちゃ良かったです。
欲しいけど、買えないスピーカーです。技術革新とか営業努力で安くならないかなと思っている一台です。



スピーカーは信頼できる製品を買う

モニタースピーカーは他にも安い機種があるんですが、正直あまり音が良くないです。
せっかく買うなら音のいい機種、しかも売り買いしやすい人気のメーカーを買う方が、コストパフォーマンスが高くなります。なぜならスピーカーは長く使うことができるし、頻繁にモデルチェンジしないので、高い値段で売れるからです。
もし中途半端な製品を選ぶなら、僕は使わなくていいと思います。その分、いいヘッドホンを買った方がいいでしょう。
音の出口は音楽のクオリティを左右するものです。ぜひいい製品と出会ってください。

“おすすめの記事”
“DTMを始めるときに必要なソフト&機材まとめ”

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