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リアルなソロのホルン、ユーフォニアム、チューバ音源「SWAM HORNS AND TUBAS」レビュー

SWAM音源、最後の解説はホルン、ユーフォニアム、チューバの音源です。なぜこの3つの楽器がひとつなのかなとも思いましたが、音源を作る人たちにとっては共通点があるのかもしれません。ソロの管楽器音源としては最高クラスのリアルさですので、演奏や打ち込みのテストをしていた時に楽しかったです。それでは解説していきたいと思います。

物理モデリングのホルンチューバ音源

メーカーのデモの動画です。リアルタイム演奏でこのリアルさなので、打ち込んだらかなり本物に近くなります。その理由は音源がサンプリングではなく、物理モデリングだからですね。特にサンプリングのように音の切れ目がないので、より自然な美しい音のつながりが出てくる音源ですね。さらにパラメーターを追い込めばいいんですがやりすぎると大変です。

収録されている音源の紹介

ホルン、ユーフォニアム、チューバの3つの楽器とそのバリエーションを含めて5つ収録されています。正直、バリエーション系の音の違いはあまりよくわかりません。ただ上下の音域幅が違うので合うものをセレクトするというのでも大丈夫ですが、一応、こっちが基準の楽器ということがわかりやすいように表記しておきます。

フレンチホルン(F)

Swam hr 02

こちらがF管のホルンです。長い管をグルグルっと巻いてひとつに巻いている楽器。管が長い割にマスピースは小さく、パワーとコントロールの両方が必要な楽器です。あとはベル(音が出る扇状に広がった部分)に手を入れて、音質を調整するのも特徴です。
ちなみに、こちらが一般的に使われているホルンだと思っていただいた方がいいです。

フレンチホルン(Bb)

Swam hr 01

こちらはF管ホルンより少し高い音が出る楽器です。楽器の構造を語ると色々あるのですが、ホルンは様々なバリエーションがあり、どの楽器かはわからないところがあります。ただ音はそこまで大きく違うわけではないので、自分の曲の音域で作るといいでしょう。もし演奏してもらう曲にする場合は、F管の音域で作っておく方がいいです。

ユーフォニウム

Swam eu 01

アニメで一躍有名になった楽器です。コントロールしやすく、柔らかい音ですごく歌えるいい楽器なのですが、ほとんどブラスバンドでしか使われない楽器です。実はブラスバンド時代に後輩を教えるために演奏してました。ただこの音源での音は少し強めの音が出るので、管のベルの向きなど、いくつかのパラメーターで調整するとユーフォニアムの音に近づきました。

バスチューバ

Swam tu 01

音域から考えると、こちらが標準のBb管のチューバです。あまりバスチューバという呼び名では呼ばないです。金管楽器最低音の楽器で主にベースを担当。ジャンルとしてはブラスバンドやクラッシック、あとニューオリンズのジャズなどでも使われます。

チューバ(Eb)

Swam tu 02

Eb管のチューバです。Bb管のチューバより少し高い音域が標準の楽器です。音源上すごく差があるわけではないので、実際に演奏してもらうことを考えるならば、基本はバスチューバの方で作曲する方がいいと思います。

各音源の音域と作曲の注意点

Swam hr 03

こちらがざっと鍵盤にアサインされた音域です。金管楽器は幅広い音域が鳴るんですが、演奏者に差がありますので、上下数音切った音域が実用音域だと思ってもらった方がいいと思います。あと音作りは少し音源でした方がいいと思いました。特にユーフォニアムは柔らかさが足りないので、うまく調整する必要があります。

プリセットとミュート

Swam hr 04

それでは各種パラメーターなどの解説です。基本はトランペットと同じなんですが、ホルンならではのポイントもあります。

①ジャンル分けプリセット

こちらは各種パラメーターをジャンル別に調節したプリセットです。
例えばホルンだと、Love Theme、Symphonicなどの種類があり、それぞれのジャンルに的したプリセットが選べます。Love Themeはよくわかりません。チューバだとニューオリンズジャズのプリセットもありました。

②ミュート変更

ストレート、カップミュート、ワウ、ハンドミュートが選べます。ストレート以外はミュートコントロールで、ミュートを操作できます。またミュートはCCを割り当てれば、演奏中に取り外しや変更もできます。またホルンの場合はデフォルトで手をベルに突っ込むので、最初からハンドミュートがデフフォルトでかかってます。

インターフェイス・操作系解説

Swam hr 05

現在のSWAM音源はこのBrassをベースに統一されています。大きく5ヶ所に分けて解説していきます。

①基本操作

この部分は音源操作の基本です。ピッチベンド、ビブラート、ベロシティ、エクスプレッションの4つのパラメータです。
最重要なのはタンギング表現のベロシティと息の量をコントロールするエクスプレッション。この2つのパラメータがリアルさの追求に必要なパラメータになります。
あとビブラートなんですが、曲に合わせて調整しつつ、薄くかけることで自然な人間の揺らぎも表現できます。

②音質・演奏表現の調節

ここは音質や演奏表現を調節するところです。
GrowlやOverblowなど音を大きく変化させるものや、Fletterという演奏技法、あとミュートの距離を調整できるところです。他のSWAM音源と大きく違うところは、ハーフバルブの開き具合を調整するところや、ユニゾンで複数の音源を重ねるときにフェージング効果を避けられるUnizon Anti Phasingがあります。
このあたりをこだわって打ち込むとリアルさがさらにプラスされますが、やりだすとキリがないです。オケと混ぜてわかる表現を抜き出して調整することをおすすめします。

③詳細設定

前バージョンは詳細設定が一覧で出てきて、何を触ればいいか手探りでしたが、V3からは分類されて、かなり見やすくなりました。
■Expressivity・・・エクスプレッションやビブラート系の詳細設定
■Play Modes・・・演奏に関わる詳細設定
■Timbere・・・楽器の音質調整
■Pich・・・楽器や音ごとのピッチ調整
■Advanced・・・リアルさを出す微調整の設定

④エフェクト系

EQとリバーブの調整です。ミックスのようにオケになじませるエフェクトではなく、楽器がリアルに響く音作りができるところです。リバーブもそこまで反射があるものではありません。

⑤CC選択や演奏機器の選択

キーボードだけでなく、EWIなどのウインドシンセやRoliのSeaboardなどで演奏できるように、自動的にパラメータを割り振ってくれるプリセットが選択できます。またコントロールしたいパラメータのCC設定ができます。

打ち込みのポイント

まだ使い始めたばかりですが、現状分かっている打ち込みのポイントを書いていきたいと思います。

表現の決め手はエクスプレッション

やはり表現の決め手はエクスプレッションの書き込みです。いかにダイナミックスをコントロールして演奏するかがポイント。特にホルンの刻みや、チューバのベースはうまく打ち込む必要があると思いました。

自然な揺らぎをビブラートで

ビブラートのレートを曲に合わせて変えて、うまく薄くかけておくと、自然な揺らぎができて、よりリアルな打ち込みになります。大きくかけるとビブラートになるので、薄くかけるのがポイントです。

ユニゾンでも使える

Unizon Anti Phasingというパラメータがあり、ここを操作することで音源を複数立ち上げてパートを組むことができます。パターンが5つあるので、オーケストラの5管編成も組むことができます。ただもう少し音がばらけるといい感じなので、そこは今調整中です。

空間系エフェクトは必須

デフォルトでリバーブがついているんですが、楽器本体の響きを作るくらいの感じなので、空間系のエフェクトでもう少し音を作っていく方がいいと思います。

本物に近い管楽器音源

同じSWAM音源でも楽器が違えば打ち込み方が変わるなと思いました。特にホルンやチューバは刻む系の音を打ち込んだりするので、その時は管の長い楽器特有のアタックの遅れをうまく表現する必要があると思いました。ただ音はリアル寄りの音源ですので、個人的には使っていこうと考えています。少し高い音源ですし、打ち込みが難しい楽器ですが、リアルさを優先する方はぜひ使ってみてください。

“参考記事”
“SWAM音源_レビューまとめ”


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