管楽器のソロ音源はどれがいいですか?と聞かれることがあります。個人的に一番好きな音源がAudioModering社のSWAM音源です。やはり本物には負けますが、追い込めばいちばんリアルになる音源だと思っています。かなり高価なんですが、発売されたときに飛びついて買いました(あの時はお金があった・・・)。今回はこの音源について解説したいと思います。
目次
開発元はAudio Modeling社
Kontaktを使った管楽器音源でお馴染みのSample Modeling社が「サックスなど木管楽器はkontaktでは無理。違うエンジン開発してるからな」とリリースしていて待ってました。それから数年後に、発売されたのがSWAM音源です。最初、SampleModeling社から発売されてたんですが、どうも大人の事情があったようで、現在はAudio Modeling社から木管楽器、金管楽器、弦楽器のソロ音源が発売されています。
僕が持っているのは木管のみです。各音源の詳細は下記よりご覧ください。この記事ではSWAM音源の概要を解説しています。
“SWAM_SAXOPHONEレビュー”
“SWAM_FLUTEレビュー”
“SWAM_CLARINETレビュー”
“SWAM_DOUBLE_REEDSレビュー”
デッドな物理モデリング
デモを担当してるメーカーのおっさんがイマイチでで別の人にさせろ!と思ってたら出てきた動画です。聞いていただければわかると思いますが、ほぼサックスです。プロの演奏にはかないませんが、素人だと判別つかないかもしれません。ただ音源の素の音はドライなので、リバーブなど空間系で管楽器の響きを作り上げる必要があります。
またウインドシンセ等でも演奏できるのですが、本物のサックスとは勝手が違うので、管楽器の経験がない人の方がうまく操作できるかもしれません。僕は打ち込みで使います。
メインのインターフェイス
こちらがSWAM音源のメインインターフェイスです。管楽器は楽器によって色が違うだけで、基本的なインターフェイスは一緒です。この音源はリアルな楽器に近い操作系なので、少し曲があります。それを画像の数字がついてる部分ごとに解説していきます。
①音源の操作状況を表示するメータ
この音源はウインドシンセ(電子管楽器)でも操作できるようにしているため、ほぼ管楽器の演奏法をオートメーションで書き込むか、リアルタイムで打ち込む必要があります。ヴェロシティがタンギングでアタック感の調整、エクスプレッションが息の量のコントロールです。打ち込みのコツは後ほどご紹介します。
②音色は複数あり
音色はそれぞれの音源で数が異なりますが複数用意されていて、ユニゾンで楽器を編成したい場合は、ここの音色を変えてください。テナーサックスの場合は、Sax0~4までの音色があり、SAX0はFlatのみ、SAX1〜4はWarm、Bright、Dryという音質の違いがあります。ここは気に入った音色や自分の作っている音楽に合う音色を選んでください。
③キースイッチでの操作
フォールやOverBlow(運指外の音を倍音を使って鳴らすフラジオです)はキースイッチで操作します。キーを押すと効果を発動。FallDownやOverblowと書かれたところがカラーになります。
音域外の音がある
木管楽器の特性として高い音域は運指外の音も出せるのですが、低い音域で運指外の音を基本出しません。ただこの音源はなぜか低い方の運指外の音が出ます。こういうところは物理モデリングらしいところですね。
打ち込みのポイント
打ち込みのコツは、ベロシティとエクスプレッションです。この二つを細かく操作できれば、かなり本物に近い演奏になります。注意点としてはエクスプレッションがゼロだと音が鳴らないので、打ち込むときは100ぐらいでオートメーションを書き込んでから打ち込んで、後から細かく書き込む方がいいです。
よくリアルタイムで演奏してそれを修正とかと書いている人がいますが、演奏技量を上げないとダメなのでそちら方が大変だと個人的には思います。
ベロシティは極端につけた方がいい
JAZZとかを打ち込む場合は極端にベロシティをつけた方がいです。サックスの場合は、ハーフタンギングといってリードの振動を抑えて弱音を出す奏法があり、それを再現する時にはベロシティをガツンと下げる必要があります。ビバップを再現するなら、なおさら極端にベロシティをつけた方がいいです。
エクスプレッションはできるだけ細かく
エクスプレっションは極力細かく書き込んだ方がリアルになります。音の出だしよりも音の終わり方のエクスプレッションが大切で、歯切れ良くしたいときは、極端なカーブ、優しく終わりたい時は滑らかなカーブを描きます。
管楽器を吹いている人への注意点としては、実際に入れている息の感じでエクスプレッションを書くよりは、実際の音の動きや音量変化を考えてオートメーションを書かないとリアルになりません。ご注意ください。
さらに細かな音質変化や演奏コントロールも
この画面はアタック感や各音のピッチなどを調整することころです。あんまり弄りすぎると変になりますから、ポイントを絞って微調整してください。
こちらは様々な奏法のCCコントロールの割り当てです。ヴィヴラートはエクスプレッションの書き込みでもできるんですが、個人的には専用のCCでコントロールする方がキレイになると思ってます。CC1やCC19をうまく活用するといいでしょう。
あと僕はサックスを吹いていた時代にたまに演奏に取り入れてましたが、フラッターもできます。
ドライな音源なので空間作りが重要!
かなりドライな音源なので、リバーブなど空間系を使って響きを作ってあげないといい音にはなりません。そこまでできて初めてリアルな音源になるので、この音源を使うときは、楽器の響きを作る空間系と曲全体にかけるリバーブをうまく分けて音作りをする必要があります。
これは音源ではなく管楽器
SWAMは本当にリアルな管楽器を再現できる唯一の音源だと思います。空間作りがちゃんとできれば、ほぼ本物の管楽器の演奏ができるSWAM音源。リアルさを追求する人は、ぜひ一度使ってみてください。
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