約2年ぶりにNative Instruments(以下NIに略)の音源・エフェクトバンドル「komplete」が14にメジャーアップデートしました。
今回もミドルクラスバージョン「komplete14 ultimate」を購入しましたので、全音源をレビューしていきたいと思います。
目次
- 1 新音源だけじゃない!作曲からマスタリングまで!
- 2 Kontakt7
- 3 Action Strings 2
- 4 Ashlight
- 5 Piano Colors
- 6 Sequis
- 7 Oberhausen
- 8 playBox
- 9 40s Very Own Drums
- 10 40s Very Own Keys
- 11 Deft Lines
- 12 Empire Breaks
- 13 Glaze
- 14 Ignition Keys
- 15 Melted Vibes
- 16 Soul Sessions
- 17 East Asia
- 18 Electric Mint
- 19 Electric Vintage
- 20 Picked Nylon
- 21 Prime Bass
- 22 Ozone 10 Standard
- 23 Console N
- 24 Limiter True Peak
- 25 Crispy Tuner
- 26 LO-FI-AF
- 27 さらに充実した音楽制作バンドルに
新音源だけじゃない!作曲からマスタリングまで!
komplete14 ultimateの魅力はもちろん新音源ですが、もうひとつ注目ポイントがあります。それがグループ会社効果です。
Native Instrumentsをはじめ、iZotope、Plugin Alliance、Brainworxなど、音楽業界を牽引するオーディオソフトウェア会社が「SoundWide」というグループ会社を立ち上げたことで、kompleteにもiZotopeやBrainworxのプラグインが追加されました。
今までは作曲中心の音源が中心でしたが、マスタリングまでkompleteひとつで行えるようになりました。
Kontakt7
クラッシック音源や生楽器音源を動かす音源プラットフォームとも言えるサンプラー「kontakt」が新しくなりました。
特に変わったのが音源の検索方法。komplete kontrolと同じようにワードやカテゴリーから選べるだけでなく、どんな音かサンプル音で確認できるようになり、音探しが簡単になりました。
大量にあるファクトリープリセットもグラフィックは一新され、音自体も新しくなったものもありました。
生楽器からクラッシック、シンセまで幅広い音が入っていますので、専用音源が少ないDTM初心者の方は重宝すると思います。
従来通りのインターフェイスもありますので、昔の音源選びに慣れている方はこちらを使うといいでしょう。個人的にはパラアウトの設定が初心者の人には難しいと思うのですが、そのあたりは現状のまま。次はここをなんとかして欲しいなと思います。
Action Strings 2
壮大なストリングスセクションを使った伴奏を簡単に作れる音源の進化版です。
パターンをキースイッチで組み替えて簡単に伴奏を組み立ていくのは変わりませんが、今回からベースとそれ以外の2パートに分かれ、さらにパターンの編集機能も強化されたので、自分である程度思い通りのパターンやフレーズを作り出すことができるようになりました。
曲の一部にシネマティックサウンドが欲しいなと思う時にトラックメーカー的な使い方をしたり、ゲーム音楽などでも使いやすい音源だと思います。
Ashlight
金属やガラスなどを弓で弾いたり擦ったりした独特の音をベースに、ダークで幻想的な雰囲気を作り出すアトモスフィア音源です。
説明を見たときは効果音的なワンポイントで使う音源かなとも思ったんですが、怖い場面や不思議な場面でバックに流れる音楽制作に使える音源という感じです。パット的な音や独特のピッチやモジュレーションで加工された音が搭載されているので、面白い使い方ができると思いました。
Piano Colors
グランドピアノで様々な奏法や道具を使って録音したサンプルを加工して生まれた音源です。純粋なピアノ音源ではなく、シンセのような感覚で使うといい音源ですね。
NIはこのタイプの音源をたくさん作ってきていますが、その集大成という感じがします。使えるジャンルとしてはエレクトロ系だけでなく、シネマティックな音楽にも使えると思いました。
Sequis
管楽器、ストリングス、パーカッションなど、様々なアコースティック楽器の音を録音して加工した音源です。
独自のシーケンス機能で自由度の高いパターン演奏を組めるのも特徴で、ゲームや映画の音楽やエレクトロな曲にも使える音源でした。
シンセ中心で作りたいけど、少し生音っぽい音が欲しいなという時に重宝すると思います。
Oberhausen
OberheimSEM Brainworxのアナログシンセ音源です。1974年に作られたOberheim SEMというシンセのエミューレートしたものだそうです。音は最近のアナログモデリングらしく、太くてしっかりとした音です。個人的には他のシンセで自分の曲制作は足りているので使う頻度は低いと思いますが、いろいろ試してみたいと思うシンセでした。
playBox
コードやサンプル、エフェクトなどをランダムに組み合わせて、様々なアイディアやインスピレーションを生み出す音源です。
プリセットを選ぶだけでなく、サイコロでランダムに組み合わせて自分にはない発想も生み出すことができます。ただ日本のポップな音楽を生み出すというよりは、インスト系やエレクトロ系などで使える音楽のベースを作り出せる音源です。
40s Very Own Drums
グラミー賞を受賞しているヒップホップ系のプロデューサー「Noah "40" Shebib」が制作したドラム音源です。
ゆったりとしながらもグルーブを感じるビートが特徴的。音だけだと今っぽいR&Bなんかにも使えると思いました。次で紹介するkeysと組み合わせて使ってみましたが、簡単にディープなトラックが作れるので、ラップを始めてみようかなと考えたりできました。
40s Very Own Keys
上記のリズム音源と同じく、ヒップホップ系のプロデューサー「Noah "40" Shebib」が制作したシンセ音源です。
シンセ音を劣化させて独特な雰囲気を出している音が多く、ダークでディープな独特なサウンドを生み出すことができます。40s Very Own Drumsと組み合わすことで、スローでグルービーな音楽を作れるので面白いです。
Deft Lines
ダークで危ういヒップホップのサブジャンル「ドリル」を簡単に作れる音源です。
僕自身がドリルにあまり馴染みがないのでジャンル的なことは解説できないのですが、一通り鳴らしてみた感じだと、独特のフレーズ感あるシンセのアルペジオがあるので、ダークな感じや不思議な感じのする曲にアクセントとして入れてみるのも面白いと思いました。
Empire Breaks
クラッシックなヒップホップのリズム音源です。
グルーブ感のあるドラムループが大量に入っているので、ヒップホップだけでなく、いろんな音楽に使えると思います。自分の音楽にグルーブ感のあるリズムが欲しいなと思った時に漁ってみると面白いと思います。
Glaze
ボーカルを加工してできたシンセ音源です。
明るい雰囲気の音が多く、ポップな曲などに使えると思いました。ボーカルっぽく使えるものやボーカルチョップのように加工されたものもあり、シンセで作った音では明るさや温かみが足りないなと思った時に立ち上げてみると、面白い出会いがあると思います。
Ignition Keys
ポップな音楽を作るために作られた明るく華やかな音がたくさん入った音源です。
ピアノやオルガン、シンセなど鍵盤系の音をベースに加工を加えたサウンドが中心で、歌物などでも使いやすいと思いました。
この音源の音を中心にして可愛いエレクトロな曲を簡単に作ることができそうです。
Melted Vibes
微妙にピッチが外れたようなデチューンされたローファイなサウンドが入った音源です。
トラップやR&Bに向いているそうですが、この音の雰囲気をうまく活かせる曲や、かっちりしすぎて面白くない時などに漁ってみると意外な効果が生まれそうな音源です。
Soul Sessions
50年間のソウルミュージックを象徴するサウンドを取り入れたシンセ音源です。
音源の説明では生ギターやホーン音源などと書かれていますが、どちらかというとシンセを加工したような音が多かったです。個人的には鍵盤系の音がソウルっぽくて好きでした。
East Asia
中国、朝鮮、日本を中心とした東アジア民族楽器の音源です。
個人的にはとても楽しみにしていた音源で、日本を中心にテストで使いました。三味線やしちりき、しょうなどがあり、少し独特のキースイッチを適当に触りながら演奏するだけでも、それっぽい雰囲気になるので面白かったです。何かのチャンスで使ってみたい音源です。
Electric Mint
ストラトのギター音源です。
ソロ演奏もできるし、バッキングパターンを組んで歌物のバックでも活躍もできます。専用ギター音源に比べるとアーティキュレーションの数が少ないですが、ポイントを抑えた音源になっているので、こちらの方が初心者の方には使いやすいと思いました。
様々なジャンルで使えるので、これから使用頻度が増えていくと思います。
Electric Vintage
こちらは多分テレキャスターの音源です。
Mintと同じくソロ演奏もできるし、バッキングパターンを組んで歌物のバックでも使えます。こちらも専用ギター音源に比べるとアーティキュレーションの数が少ないですが、ポイントをしっかり抑えているので、初心者の人でも扱いやすいと思います。
最近テレキャスの音が気に入ってるので、この音源を中心に一曲作ってみたいと思います。
Picked Nylon
こちらはナイロン弦を使ったギター音源です。
ソロ演奏もできるし、ボサノバやフラメンコなどクラッシックギターでよくやる音楽のバッキングも収録。スチール弦のギターと比べると音が柔らかいので、落ち着いた雰囲気を出したい時に使うといいかなって思いました。
Prime Bass
フェンダーのプレシジョンベースをサンプリングした音源です。
NIの生ベース音源はかなり古いものだけだったので、これから数年かけてリニューアルされるといいなと思っています。こちらも専用音源に比べるとアーティキュレーションの数が少ないのですが、その分扱いやすく、初心者の人でもすぐに使える音源です。
スラップも入っていて、意外に楽しめるなと思いました。
Ozone 10 Standard
昔からこれを入れておけばOK!っと言われるiZotopeのマスタリングツールOzone10のスタンダード版がkompleteに入りました。
NIのkompleteはマスタリングツールに弱かったのですが、Ozoneが入ったことでその弱点を克服したなと思いました。
本格的なマスタリングができるのはもちろんですが、少しおすすめの使い方があります。
サクッと作った曲をネットに上げたいなと思った時にマスターにさして適当にプリセットを選んでください。それだけで、かなりいい仕上がりになるんですよ。SNSを使いながら曲作りするときに、ぜひ使ってください。
(※Standardはインストールしなかったので、写真は僕が持っている上位バージョンです。)
Console N
Neveコンソールを再現したBrainworx社製のチャンネルストリップです。
使ってみましたが質感もわかりやすくて、ガツンとくるので初心者の方でも効果を実感しやすいと思います。微調整するというよりはNeveの味が欲しいって時に使うと効果的だと思いました。
これからUADよりこちらを使う頻度が高くなると思います。
Limiter True Peak
音楽的にピークを抑えてラウドネス規制に対応できるプラグインです。
単純にピークを抑えるだけでなく、音楽的にサウンドを盛り上げることができるそうです。Ozoneでいいかと毎回思っている部分ではあるのですが、一度チャンスがあれば実戦で使ってみたいと思います。
Crispy Tuner
ボーカルなどのピッチ修正プラグインです。DAWがCubaseだと標準の修正ツールが強力なので出番はないかなと思うんですが、極端な修正をしてケロらせる方が効果高くて楽しかったです。ワンポイントで面白い使い方ができそうだなと思いました。
LO-FI-AF
ビット数を落としたりノイズを入れたりして、劣化したようなローファイサウンドを生み出せるプラグインです。
単純なフィルター加工だけではなく、音飛びやノイズ、ピッチのズレ、音質変化まで生み出せる面白いプラグインなので、曲の途中でローファイな感じが欲しくなるような場面で使ってみたいと思います。
さらに充実した音楽制作バンドルに
komplete14 ultimateでは、今まで弱かったり足りなかったりしたギター音源をはじめとした生音系音源や、ヒップホップ系の音源が充実しています。
作曲者の喜ぶもの、トラックメーカーが必要とするものを、それぞれ充実させた印象です。さらに、Ozone10 StanderdやConsole Nなどグループ会社のプラグインを追加し、作曲からマスタリングまで音楽制作作業を一貫して行えるバンドルになりました。
より簡単に狙い通りの音楽を作っていける音源バンドルなので初心者の方から中級者の方までおすすめできます。ぜひ一度使ってみてください。
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