DTM & Music SWAM音源

表現力のあるソロストリングス音源「SWAM Solo Strings V3」レビュー

SWAM音源は木管系だけを持っていたんですが、ちょうどV3にバージョンアップした時にStiringとBrassのセットがセールになっていたので思い切って購入しました。
あまり期待をしてなかったのですが、使ってみるとかなりリアルな振る舞いをする音源で良かったのでご紹介したいと思います。

リアルな物理モデリング「SWAM-S音源」

メーカーのデモ動画です。リアルタイム演奏で音源を操作しているんですが、かなりリアルな音の振る舞いだと思います。
特に物理モデリングの音源なので、サンプリング音源にありがちな音の切れ目がないし、音のつながりやダイナミックスが美しいです。
これを打ち込みにするとさらにリアルにするパラメーターがあるので、弦楽器経験者ならば、かなり再現度の高い演奏を生み出せると思います。

弦楽器は4種類

Swam s hito

この音源には、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ダブルベースの4種類が搭載されています。管楽器と違ってたくさんのバリエーションがなくて、シンプルでいいですね。

ヴァイオリン

Swam s 01

ヴァイオリン系の楽器では高域を担当する楽器です。
顎で楽器を挟んで支えて演奏します。非常に高い演奏技術が必要な楽器で、多くの演奏者が幼少の頃から楽器の演奏を始める人が多いです。
クラッシックで演奏されるイメージがありますが、かなり力強い音が出る楽器なので、民族的な音楽からロックな曲まで幅広いジャンルで使用されます。
この音源でも音の振る舞いはかなりリアルになるのですが、若干響きが足りません。空間系の処理をして響きを足してあげる必要があります。

ヴィオラ

Swam s 02

ヴァイオリン系の中高音を担当する楽器です。
オケやアンサブルなどで欠かせない楽器で、伴奏系のハーモニーを作る重要な役目を果たします。あまりソロでは見かけないのでいまいち音のイメージがないんですが、独特の音色でソロ楽器としても面白いらしいです。

チェロ

Swam s 03

弦楽器の中低音を担当する楽器です。
すごく表現力に優れた楽器で、豊かな低音から潤いある高音まで幅広い音域を持っているため、ソロ楽器として個人的にはすごく好きです。ただ楽器のサイズが大きくなり、持ち運びが大変です。

ダブルベース

Swam s 04

弦楽器の最低音を担当する楽器です。
コントラバス、ストリングベース、ウッドベース、弦バス、アコースティックベースなど、使うジャンルでさまざまな呼び方があります。クラッシックだけでなく、ジャズやアコースティックな音楽のベースとしても使われます。
この音源でもボーイングのベース音はもちろん、ピチカートをパラメータの調整でジャズなどの曲でも使えるベースでした。個人的にはジャズや歌ものでも効果的に使えそうなのが、うれしい誤算でした。

各音源の音域と作曲の注意点

Swam s 07

各弦楽器の音域です。操作できる鍵盤がチェロとダブルベースだけオクターブ上に設定されているので、打ち込むときは少し注意ですね。
弦楽器なので音域は広いと思っていましたが、大体どの楽器も4オクターブほどあります。木管楽器と比べて鳴らない音が含まれているわけではないと思いますが、実際に演奏してもらう曲を作る場合は、少し上下削って作った方がいいと思います。

2箇所のプリセット

Swam s 05

プリセットを選ぶところは2箇所あります。

①ジャンル分けプリセット

こちらは音質や各種パラメータをジャンルごとに設定してあるプリセットがあります。
プリセットは、Country、Gipsy、Jazz、Mozart、Pop、Tchaikovskyの6種類。管楽器みたいにクラッシックでまとめたプリセットがないですね。モーツアルト、チャイコフスキという名前のプリセットがあり、このあたりがクラッシックのプリセットのようです。

②楽器のプリセット

Swam s 08

こちらは楽器の種類が選べるプリセットです。
上の写真はバイオリンですが、他の楽器でも同じようにイタリアの都市名のプリセット+エレキバイオリンになります。ヴァイオリンは有名な生産地が入っているんですが、他の楽器はローマやナポリが入っていたりします。
ここは好みだと思いました。

インターフェイス・操作系解説

Swam s 06

ストリングス系は他のSWAM音源より複雑な操作系になっています。
これを全て使いこなせれば、かなりリアルな演奏になりそうですが、弦楽器の知識が必要だと思います。それでは個別に解説していきます。

①基本操作

基本の操作系がまとめられています。
ピッチベンド、ビブラート、ヴェロシティ、エクスプレッションですね。特にこの音源ではエクスプレッションの操作がリアルな表現の基本になります。あとヴィブラートを薄く入れていくことで、自然な揺らぎも作れます。

②リアル度アップパラメータ

ボーイングやピチカートのポジションと弦の圧力を選べるところです。
オートメーションを書くことでリアルになるんですが、ここが弦楽器の仕組みをわかっていないと調整に時間がかかります。僕はうまくできないので勉強中です。

③キースイッチ系

Swam s 10

トレモロやハーモニクス、ボウ、ピチカート、コルレーニョ(弓の木の部分で弦を叩く)奏法の切り替えや弦を押さえるポジションなどを切り替えるキースイッチの操作系がまとめられています。
これがかなり複雑で、キースイッチが2音必要だったり、ベロシティの強さによって選べるものが変わったりします。ここも弦の仕組みがわかっていないと難しいです。またキースイッチではなく、CCにアサインしてコントロールすることも可能です。

キースイッチをONにする方法

Swam s 09

説明書には各種キースイッチで操作してくださいと書かれているのに、初期設定ではキースイッチがOFFになっています。
キースイッチを有効にするには次の④にあるAdovanced>MIDIのところにあるKS Octaveでキースイッチをアサインするキーを選んでください。説明書でも後の方に書かれているので、キースイッチが反応しない!ということが度々起こります。

④詳細設定

前バージョンは詳細設定が一覧で出てきて、何を触ればいいか手探りでしたが、V3からは分類されて、かなり見やすくなりました。
■Expressivity・・・エクスプレッションやビブラート系の詳細設定
■Play Modes・・・ここは演奏に関わる詳細設定
■Timbere・・・楽器の音質調整
■Pich・・・楽器や音ごとのピッチ調整
■Advanced・・・リアルさを出す微調整の設定

⑤エフェクト系

EQとリバーブの調整です。ミックスのようにオケになじませるエフェクトではなく、楽器がリアルに響く音作りができるところです。リバーブもそこまで反射があるものではありません。

⑥CC選択や演奏機器の選択

キーボードだけでなく、EWIなどのウインドシンセやRoliのSeaboardなどで演奏できるように、自動的にパラメータを割り振ってくれるプリセットが選択できます。またコントロールしたいパラメータのCC設定ができます。

打ち込みのポイント

まだあまり使いこなせていないのですが、現状で使ってみてわかった打ち込みポイントを書いておきます。

エクスプレッションが重要

表現力の決め手は、他のSWAM音源と同様、エクスプレッションが決め手です。ここでオートメーションをある程度書きこむことで、生き生きとしたストリングスに生まれ変わります。

自然なうねりを生むモジュレーション

最近、木管でよく使うんですが、ビブラートの設定をいじってモジュレーションを薄くかけ、人間独特の音のうねりを出すとリアル感がプラスされます。他のオートメーションでリアル感が不足するなというときは、取り入れてみるといいでしょう。

弦の圧力を調整する「Bow Pressure」

他の音源にはあまり見られないパラメータで、弦に対する弓の圧力を調整するパラメーターです。これをうまくかけることで、音のリアルさを追加できます。いいパラメーターだと思うのですが、本物をまともに弾いたことがないため、この圧力のかけ方がベストなのかはわからないなと思っています。ここは研究中です。

ユニゾンでも使える

上記の動画はSWAM音源でオーケストラを組んで、さらにリアルタイムで演奏できるソフトウェア「DIVISIMATE」のデモです。
リアルタイムなのでオートメーションの書き込みがそこまで追加できない状況でこのリアルさは驚きです。特にストリングスはSWAM音源を3本組み合わせてパート分けしており、それだけでこの重厚さを出せているのはすごいなと思いました。

こちらは上記ソフトのメーカーが出しているテンプレートの組み方です。
ここのメーカーがいろんな組み合わせも試してくれていて、Cineamtic Stirngsなど組み合わせたりしているので面白かったです。ただこのテンプレートは前バージョンのSWAM音源が使われているため、僕の方では使えず・・・自分でどうすればキレイなアンサンブルが組めるか研究中です。

空間系の処理は必要

音源の中に空間系エフェクトがあるのですが、どちらかというと楽器自体の響きを作る感じなので、基本はデッドな音源に近いと思っておいていいと思います。オケに馴染ませるには、リバーブなどの処理が必須になります。ミックス時にやればいいかと思っていると、シンセっぽくなったりするので、曲を作りながらシミュレーションしておくといいかと思いました。

楽器並の表現力を持つ音源

Swam s 01

実はあまり期待しないで買ったのですが、正直、いい意味で期待を裏切られた音源でした。
今後、オーケストラ音源なども使っていきたいと思っていたので、どういう使い方をすればこの音源のリアルさを活かせるのがテストをしていきたいと思います。ただ簡単に操作ができるタイプの音源ではありませんので、初心者の方は慎重に購入を検討した方がいいでしょう。もし弦楽器経験者だけど自分はうまく演奏できなくて・・・と言う方が使うとかなり良くなる音源でもある思います。ぜひ機会があれば使ってみてください。

“参考記事”
“SWAM音源_レビューまとめ”


-DTM & Music, SWAM音源