モニタースピーカーはYAMAHAのMSP5をずっと使っていたのですが、引越しのためコンパクトにDTMシステムをまとめる必要があったので、急遽導入したのが、eve audioのSC203です。
前から音を聞いたときに、コンパクトなのにそこそこ低域もなるしいいスピーカーだなと注目していたんですが、たまたまヤフオクに出ていてたのですぐに落札しました。かなり気に入っていて、4年ほど使っています。今日はこのSC203についてご紹介します。
目次
メーカーのEVE AUDIOとは
ドイツのモニタースピーカーのメーカーです。特徴は最新のDSP技術で製品の音質を調整することができ、部屋にあった調整や自分が目指すモニター環境を作ることができます。全面のデザインにシルバーを取り入れていてかっこいいので、見た目からもやる気が出ます。(これ意外に重要です!)
SC203の概要
EVE AUDIOのSC203はペアで6万円台と、モニタースピーカーとしてはミドルクラスの価格帯です。また非常に高音質でUSB一本でPCとも接続できるため、オーディオ誌などでも注目を集めていました。一般的にスピーカーのサイズが大きくなるほど低域は増幅しやすいので、サイズの大きいスピーカーほど高音質になる傾向があります。しかし、このスピーカーは116x190x134mmのコンパクトボディでしっかり低域がなるんです。
またRCA入力やデジタル入力、USBでの入力など多彩な入力を持っています。ちょっとRCA入力が弱いかなと思っていたのですが、それほど距類を空けて使わないため問題はありませんでした。
基本は2wayスピーカー
正面から見ると普通の2wayパワードスピーカー(アンプ内蔵)です。ところが細部のこだわりが違います。
ツイーターは小型スピーカー用に研究開発されたものでµA.M.T.ツイーターと呼ばれるのもで、高解像で澄み切った音を出してきます。正直このサイズのスピーカーでここまでスッキリした高域を出すスピーカーも珍しいです。
また正面のウーハーは3インチなんですが、かなりの大きな可動域を持っているので、しっかりと中低域の音を作り上げています。多分、このサイズ感でこれに匹敵するのは、Genelecの製品くらいではないかなと思います。
豊かな低域の秘密はパッシブラジエーター
さらに低域を豊かにしているのが、背面にあるパッシブラジエーターです。
低域はスピーカーの内部で増幅して、空気穴から外に出すバスレフという構造が一般的ですが、小型スピーカーでは低域を増幅する構造を作り出せないため、低域がどうしても弱くなりがちでした。
けれど、このパッシブラジエーターを、フロントのドライバーが発生させるスピーカー内部の空気圧によって動かすことで、正確な低域を発生させることができるだけでなく、バスレフでは難しかった不要な風切り音や倍音を発生させることがなく、締まりのある低域を作り出せるんです。視聴するときに、ベースやキック音がすごく明瞭ですよ。
DSPで音の鳴り方を調整できる
ハイ、ローなどのEQ処理、左右の音量バランスによる定位の調整、設置場所に合わせた音質調整(フラット、デスク、コンソール)などが、正面にあるノブ一つで調整できます。簡単な操作で自分が求めるモニター音を作り出すことができます。デスクで使用する際は、低域が少しきつく出ることがあります。性能が良すぎるだけなんですが、そこは設置やEQ処理で調整してみてください。
しまりのある低域と正確なフルレンジのモニター音
すごいデカくて高級なモニタースピーカーと比べると、それをはるかに凌駕する音質!と言えるものではありません。ただこの小さなスピーカーで非常バランスがよく、低域もしっかり鳴るのに締まりがある。さらに低域から高域までフルレンジで鳴るものは、Genelecの8010くらいしか思い浮かびません。それくらい貴重だと思います。
それにプラスして、写真にあると思うのですが、スピーカーの下にゴムのような素材の台があります。これがいい感じで斜めの角度をつけてくれて、デスクで聞いていてもツイーターを耳の高さに調整してくれます。
何よりも曲作りしているときも欲しい音がちゃんと鳴るし、音楽を聞くときも細部まで聞き取れるので、作曲の参考になるようなパートも聞き取りやすいです。正直、楽しくてしょうがないです。
作曲にミックスにコスパのいい小型モニタースピーカー
小型で高音質、そしてコストパフォーマンスに優れたモニタースピーカーだと思います。ヘッドホンから、はじめてのモニタースピーカーに、安いモニタースピーカーからのステップアップに最適です。ぜひ一度、使ってみてはいかがでしょうか。