管楽器の音源はいろいろありますが、ソロのトランペット音源でいいもの言えば、一択です。それは、SampleModeling社の「The Trumpet 3」です。正直、ほぼ生音にしか聞こえませんし、リバーブをかけたら、本物と比べてもわからなくなるんじゃないでしょうかというくらいリアルです。またEWIなどのウインドシンセでも操作できます。今日はこの音源についてご紹介したいと思います。
目次
リアルな音の変化を作り出す物理モデリングシンセ
他の管楽器音源は録音されたデータを鳴らすサンプリング音源です。あらゆる音色変化に対応するためにいろんな奏法のデータが必要なため、どうしてもソフトが重くなりがちです。それに対して物理モデリングシンセは、楽器の倍音まで含めた音色データをサンプリングしてプログラム化して、リアルタイムであらゆる奏法を再現できるものです。データが軽く、しかも音色の変化がリアルなので、打ち込み方で大きな差がつく音源といっても過言ではないかもしれません。この音源は一応サンプリングした音を使って物理モデリングするらしいので、サンプリング音源と物理モデリングシンセのいいとこ取りをした音源という感じです。
収録されている楽器
■トランペット1・・・普通のピストンのトランペット。オールジャンルで使用。
■トランペット2・・・メインと音色違い。オールジャンルで使用。
■トランペット3・・・メインと音色違い。オールジャンルで使用。
■フリューゲルホルン・・・トランペットより大きく、豊かな音がする。ブラスバンドとJazzなどで使う。
■ジャーマントランペット・・・指の部分がロータリーになったトランペット。クラッシック用。
■コルネット・・・トランペットより小さいが、音域は同じくらい。
■ピッコロトランペット・・・高い音がなるトランペット。金管バンドや特殊な時に使う。
通常のトランペットが3種類、その他が6つという感じですね。トランペットも3つありますからアンサンブルもできます。フリューゲルホルンは、トランペットを大きくした感じの楽器で、すごく豊かで優しい音色になって、とても歌える楽器です。JAZZなんかでフリューゲルホルンを使うととめっちゃかっこいいです。ジャーマントランペットは、名前だけ聞いてもわからなかったんですが、ピストンではなくロータリーのトランペットのようです。マツダとロータリーエンジンと同じ構造ですね。音が柔らかくなるので主にクラッシックで使われます。というかクラッシックでしか使っているところを見たことがないです。トランペットとコルネットとフリュゲールホルンは、菅の巻き方が異なるんですが、菅の長さはそんなかわらないんで、ほぼほぼ同じ音域です。トランペット系は奏者が頑張れば、いくらでも高い音が出るし、低い音も出せるんです。ジャズのビックバンドですと、ハイノートヒッターと呼ばれる高い音を当てる専門奏者みたいな人がいます。最後にピッコロトランペットですが、一番高い音がなるトランペットなんですが、ほとんど使われているのを見たことがないです。
まず最初にCC11の洗礼
音源を立ち上げるとまずエラーメッセージが表示されます。CC11がないと使えませんよ!という内容です。CC11はなんかというと「エクスプレッション」です。音の大きさですね。鍵盤のエクスプレッションペダルを踏む。CC11を書き込む。右下の部分Main Viewと書かれたところを押すといろいろコントロール系を選択できますので、「Controllers1」の「CC11 Dyanmics」と書かれているつまみをいじってください。これで音がなります。
ベロシティで発音を、MIDIノートの長さで音の長さを、そしてCC11で息の量、音の強さをコントロールするようになってます。Windシンセでコントロールしてリアルタイム録音する人もいるようですが、僕は鍵盤で弾いてクオンタイズなどで調節。そのあとに、オートメーションでDynamicsはもちろん、その他使いたいパラメータをオートメーションで書き込みます。その方が早い。
トランペットならではの音色変化も
コントロールは基本CCでコントロールするので、パラメータを見てもらえればわかると思います。だいたいエクスプレッションだけ書き込んでおけば大丈夫なんですが、よりリアルを追求したい人のために様々な音色変化を調整できます。その中でもトランペット特有の音色変化をご紹介します。
■Flutter
これはわからない人も多いと思いますが、巻き舌で演奏する方法です。「あほんだら!」の「だら」の部分を連続でやってる感じです。たまにしか使いませんが。
■Growl
これはうなる感じの音にする奏法です。使わなくてもいいんですが、そういう感じの音が欲しいなと思った時はいじってみてください。
ミュートが使える
ミュートと聞くとDAW上で音を消すことだと思う人が多いですが、これはトラッペットのベルの部分(音が出る部分)にくっつけて音を弱めたり、音色変化をさせたりする道具です。ストレート、カップ、バケット、ハーマン、ハーマンステムの5種類をCCで切り替えて使えるので用途に合わせて使ってください。僕は一度マイルス風に打ち込もうと思って使ったことがありますが、なかなか自分の曲で活かせないですw
倍音を調整できる
管楽器を吹いていた人はわかると思うのですが、楽器の倍音の出方で音色が大きく変わるんです。これはシンセの音作りと同じなのですが、その倍音をどう取るかを考えながら吹くことで、自分の音というものを管楽器奏者は作っていきます。この音源では、この倍音を調整して理想の音色を目指すことができます。
もっともリアルなトランペット音源だ
他にもいろんな調整ができるのですが、少し絞ってお話ししました。これはトランペット音源ではなくトランペットそのものです。管楽器でビックバンドを組んでみたいとか、生に近いホーンセクションを組みたいという方はぜひお使いになってはいかがでしょうか。実際の音は下記の動画でご確認ください。
最近、SWAM音源に乗り換えました
物理モデリングのSWAM音源に乗り換えました。こちらもトランペットのソロ音源としてかなり優秀です。こちらの記事もぜひご覧ください。
“SWAM_TRUMPETS_レビュー”