毎回曲が出たときに生放送で使用したプラグイン解説をしていたんですが、今回はブログで行いたいと思います。春恋華憐では、買ってほったらかしにしていたエフェクトなども使ってみました。使って良かったものを中心に書いていますので、皆さんの参考になればいいなと思っています。
まずは「春恋華憐」をお聞きください
昔は作曲したプロジェクトのマスターにOzoneを突っ込んでまとめるという方法を使っていましたが、今回はちゃんとWaveで書き出した後にミックス用プロジェクトでミックス、さらにMSで分けてマスタリング用プロジェクトでマスタリングしました。このあたりは勉強の成果が出たかなと思っています。
各楽器の基本エフェクト
まず各楽器の基本エフェクトから解説していきます。ボカロ曲ということもありますが、手っ取り早く理想の音に近づけるために簡単プラグインを多用しました。
Waves「Jack Joseph Puig Signature Series」
この曲で中心的に使ったのが 買ってほったらかしにしていたwavesのJJPシグネチャーシリーズです。
有名エンジニアが製作に加わった簡単プラグインで、挿してプリセットを選ぶだけで基本的な処理は完了します。とはいえJJPはいじれるところが多いので、自分好みの音にも変更できるのでいいプラグインでした。
今回は、ボーカル、ギター、ドラム、ストリングスに入れました。かなり良かったですよ。しばらくメインで使うと思います。
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“waves「JJP」レビュー”
EZmix2
Toontrackの簡単ミックスプラグインです。
今回はJJPを使いましたが、あらゆる楽器に汎用的に使えるので、困ったらこれを使います。一度これで基本の音を作って、別のプラグインを試していました。最終的には鍵盤系はEZmix2をそのまま使いました。
いじるところが少なく、効果が分かりやすいので、初心者の人にはおすすめです。
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“EZmixレビュー”
waves「Maserati B72 Bass」
BASSにはこのプラグインを使いました。これもWavesのシグネチャーシリーズのひとつで、粒感のあるBassを作るのに効果的でした。
ここにもJJPを挿したんですが、ロックっぽいパンチが効いた感じになってグルーブ感が少し無くなったんですよね。使い方の問題かもしれませんので、次回は再チャレンジしてみたいと思います。
MaseratiのシリーズはJJPに比べると空気感を重視した音作りに向いています。ちょっと空間系が多い場合もありますので、そこは調整して使ってください。
NI「Guitar rig6」
カッティングギターにはNIのGuitar Rig 6を使いました。
昨年新しくなったアンプシミュレーターなんですが、フラットデザインのインターフェイスになり、かなり見やすく使いやすくなりました。シンセ系の安いギター音源でも、アンシュミを通すとリアルなギター音に近くなりますので、kompleteをお持ちの方はぜひ使ってください。
steinberg「Mono to Stereo」
ボーカルのサブトラックやコーラスを少し左右に広げるために入れてみました。WavesのPS22を使おうかなとも思ったのですが、これを使うと少しセンターが下がるイメージで混ざりやすくなるので、同じ音を二つ重ねて使うときに使ってみました。個人的にはうまくいったかなと思っています。
iZotope「Vocal Dubler」
ミュージシャンの方に教えてもらったもので、iZotopeで無料で配っているプラグインです。サブのボーカルトラックとコーラスに厚みを持たせるために使いました。それなりにくっきりと効果が出るので、分かりやすくて初心者にも使いやすいと思います。
しかも無料ですから・・・
UAD「Neve1081」
挿すだけで音が変わる系のものなんですが、今回は主にドラムトラックに使用しました。EQ処理が分かりやすくてしっかり音を立てながら帯域を分けられます。味付け用としても使えるし、マスキング用のEQとしても少し利用しました。UADはNEVE系がかなり優秀なのでおすすめです。
他のトラックにも使いたかったのですが、DSPの限界で使えませんでした。
リバーブ
空間系は圧倒的にUADが優秀なので全てUADを使いました。本当はもう少し欲しいものもあるのですが、DSPが足りず、使えなくなってしまうので新しい機材を買ったら買い増したいです。
UAD「EMT140」
プレートリバーブのエミュレートなんですが、UADなのでかなり質感がいいです。プレートとしてはもちろん、ちょっと長めのルーム系としても使いました。
UAD「EMT250」
EMT140よりも個性的な空間演出をしてくれます。今回はVocalトラックに使いました。ボーカルのリバーブってついついかけすぎてしまうんですが、お風呂状態にならず、芯を残した空間作りができたかなと思っています。
UAD「Dream Verb」
ホールリバーブで使用しました。質感は申し分ないので、全体をまとめるリバーブとして薄くかけています。ルームも最初はこれを利用してましたが、EMT140で作った空間の方が良かったので、そっちにしました。
バス・マスキング・オートメーション
まとめたり、オートメーションを書いたり、帯域を分けたりするために使ったプラグインです。
UAD「Tubetech CL1B」
昔から欲しかったプラグインです。
このエミュレートプラグインはSoftubeという会社が作っていて実績があり、DTMを始めた時からほしかったプラグインです。ガツンと変わるエフェクトではありませんが、自然とまとまりのある音にしてくれます。
Tube techのEQもあるのですが、今回は使いませんでした。(DSPが足りなくなり断念しました)
Waves「Vocalrider」
ボーカルのオートメーションを自動で書いてくれるWavesのプラグインです。
ざっくりこのプラグインでオートメーションを書いてもらって、それを手直ししてくと、ボカロでもそこそこ抑揚のあるメロディになって音楽的になります。
普通のボーカルにも使えますので、毎回手コンプかけて失敗する人は一度使ってみてはいかがでしょうか。
iZotope「Neutron 2」
こちらは自動ミキシングツールとして話題ですが、他のプラグインの方が理想の音作りができるので、今回はマスキング用のEQとして、またメーターとして全トラックで使いました。
特にマスキングしたいトラックと比較して分析してくれるので、調整が楽です。Neutron3はかなり進化しているらしいので使ってみたいんですが、お金がないのでまだ買っていません。Neutron4が出たら買おうかなと思います。
マスタリング
今回マスタリングは、MS処理をしてOzoneでまとめました。ここはいつも通りです。
Waves「S1 ms Matrix」
ミックスしたトラックをマスタリングのプロジェクトに移す前に挿すと、ミッドとサイドに分けたトラックを生成してくれる便利なプラグインです。
初心者の頃は使っていませんでしたが(そもそもWavesを持ってなかった・・・)、教えてもらって使うようになりました。
UAD「API Chanel strip」
ミッドのトラックとサイドのトラック両方にAPIのチャネルストリップを挿しました。SSLを買う人が多いと思うのですが、僕はこっち使ってます。目盛がざっくりなんで、非常に扱いやすいです。
iZotope「Ozone8」
メインのマスタリングツールです。Ozone5から使っていて、個人的には昔のデジタル臭い感じも好きでしたが、最近は質感がかなり上がって唯一無二の存在になりましたね。
今回はAI機能を使って自動でマスタリングしました。それをもとに聴覚で調整しつつ、APIも触りつつ詰めて行きました。
Ozoneは昔からマキシマイザーが優秀なんですが、一度に音圧を上げると空けた空間にもどんどん音を詰め込むので、マキシマイザーは複数かけて少しずつ音圧をあげます。
Slate Digital「FG-X」
音圧を上げる際のマキシマイザーの一つに、FG-Xを使用しています。今だにこれが一番、ナチュラルに音圧をあげてくれますね。
複数がけするマキシマイザーのひとつとして使います。また動画で最終的な音圧をラウドネスメーターを見ながら調整するので、マスタリングでは音圧をほどほどにあげておいて、動画の方で最終的な音圧を調整します。
ボカロ曲でも製作工程を整理
今までボカロ曲はざっくり作っていただけなのですが、ミックス、マスタリングと、しっかり段階を加えて、曲作りから音作りまできっちりとしたルーティンで行いました。
その際にいろんなエフェクトを使って音作りをしていくのですが、作曲に重点をおいているので、エフェクトはシンプルで使いやすい簡単系をメインに使ってみました。もちろんコンプやEQの掛け方をひとつづつ学ぶことも大切だですが、時代も変わっているので便利なものや時短につながるものはどんどんと取り入れていけばいいと思います。
みんなそれぞれやり方は違うので、あくまでも参考程度に見ていただければと思います。
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