毎回、Native Instruments(以下略でNI表記)Kompleteがアップデートされてるたびに書いていた全音源レビュー。最上位バージョンのCollector's Editionにしたのと、komplete15で削除された音源もあるため、整理に時間がかかってました。そこにMacがぶっ壊れて再起不能になるトラブルがありまして、この時期になってしまいました。すみません!
まずは、新しくなったKontaktとピアノエレピ音源から始めます。
記事記載の分類などについて
※Komplete15から全音源を手に入れてたので、Standard(表記はSt)、Ultimate(表記はUl)、Collector's Edition(表記はCo)の3つを分類します。無表記は全部に入っているもの。「のみ」がついているものは、そのバンドルだけに入っているものになります。前はお気に入り順で並べていたのですが、どの音源を記載したかわからなくなるので、NIの音源表の順番に記事を書いています。
(前回ディスコンになってる音源を入れたり間違いが多かったので・・・)
サンプリングプラットフォーム「Kontakt8」
他社製も含めて生音系など録音された音から音源を作り出すサンプリング音源のプラットフォーム「Kontakt8」。NI以外にも他社製の音源が多数出されていて、業界標準として使われています。かなり古くからあり、ルーティングなどが昔のまんまで複雑なんですが、バージョンアップを重ねるごとに、見やすく、使いやすく、順当な進化をしていると思います。
下に少し気になる新機能をまとめています。
Tools
Kontaktの音源と組み合わせて使えるコードやフレーズパターンがあります。困ったときにアイディアを出してくれる作曲お助けツールという感じですね。説明には2つしかないんですが、中身見ると3つの機能に分かれていました。
EZkeyくらいコードとパターンを組み合わせて音源に当てられたら最高なのになと思いました。
Phrase
メロディーを作ってくれるというよりは、リフやバッキングに使えるパターンが100ほどあり、色々組み合わせて行くと面白いフレーズができそうでした。困った時に使う感じかなと思います。あとDAWにコピペでMIDIデータにできます。
Cord
いくつかのコードが組まれたプリセットがあり、それをキースイッチで切り替えて、コード進行を作っていきます。コードは自分で変更もできるので、この機能でループを作って、メロをつけたり、ベース動かしたりするだけでサクッと曲ができることもあります。トラックメイカー的なセンスが問われる機能だと思います。
あとDAWにコピペでMIDIデータにできます。
Patern
これが説明になかったもので、簡単にいうとアルペジエーターです。プリセットもあるし、パターンも自分で作れるのですが、これ、DAWについてる機能でもあるので、ここで使うかどうかわからないです。
Combined
新機能のToolsや複数の音源を立ち上げたプリセットを作れる機能です。ストリングスとブラスを同時に立ち上げて、ユニゾンで壮大な音を鳴らしたり、音源の組み合わせで新しい音を作り出したりできます。
新機能紹介の動画ではクラッシック音源など複数のプリセットがあるような見え方になってましたけど、僕のところではEvolve(ディスコンになったっぽい)などの古い音源がほとんどで、新しいシンセ系が2つくらいしかないです。もしかするとプリセットが読み込めてないのかもしれませんが、そこまで使わないかなと思います。
アコースティックピアノ音源
ここからは音源紹介です。まずは生ピアノの音源からご紹介します。
kompleteなので数は多いですが、僕がよく使うのは2つくらいですね。また他社は絶対サンプリングしないであろう変態ピアノがいくつかあります。
Alicia's Keys[Ul,Co]
シンガーソングライターのアリシアキーズのピアノの音をご自身のスタジオでサンプリングした音源です。
ピアノはヤマハで、アリシアキーズのプレイスタイルを細かく分析して作られたらしく、歌モノや弾き語りなどで使いやすいです。個人的にはすごく好きなピアノで、適度なリアルさと使いやすさがあり、ニュアンスも付けやすいのでずっと使い続けています。
ミックスでしっとりとしたピアノに仕上げてもいいし、ハイをあげたパキパキの明るいピアノに仕上げてもかっこいいです。
Noire
作曲家、ピアニストNils Frahmさんのピアノを、ベルリンのレコーディングスタジオFunkhaus Saal 3で録音したサンプリング音源です。
使いやすい基本のピアノの音に加えて、フェルトでミュートした音が特徴的です。またNIのピアノ音源あるあるで、サンプリングデータにエフェクト等を加えた豊富なプリセットがあり、自分でもいろんな音を作り出せるようになっています。ピアノにこだわったり、遊んだりするのに面白い音源です。
またParticles Engineという演奏するとリズムやハーモニーを付け加えてくれる機能もあり、アイディアを引き出してくれるピアノ音源でもあります。
Piano Colors[Ul,Co]
ピアノの弦にマレットやドラムスティック、ゴム、ネジ、Ebowなどを使って鳴らした音をサンプリングした音源です。
ピアノの音だけどピアノじゃない不思議な音がします。こちらもNI音源なのでこのまま鳴らすだけでなく、アルペジエーターやparticle Engineで動きをつけたり、レイヤーで音を重ねたりと自分で音作りができるのも特徴です。
普通っぽい演奏もできますが、シネマティックな曲に使ったり、Pad的に使ったり、アイディア次第では作曲の大きな力になる音源です。
The Gentleman
1908年製のアップライトピアノをサンプリングしたアップライトピアノ音源です。
NIにしては普通のピアノ音源で、プリセットもピアノの調整や置き場所違いという感じです。アップライトのこの感じがほしいって時に引き出してくる音源だと思います。
The Giant
世界最大級のアップライトピアノ「Klavins Piano Model 370i」の音をサンプリングした音源です。
UIを見た瞬間、架空のピアノ音源かなと思ったんですが、調べると実際にあるピアノで、鍵盤が2階くらいの位置にあるので、演奏者は階段を登っていく必要があるピアノです。
サイズが大きく、演奏空間を響かせて音を作る楽器なので、深くリッチな音がするものもあれば、ポップやJazz、その他の音楽にも使いやすい音も用意されています。
またNIらしく、シネマティックな音楽にも使える変態的な音作りもできるので、使い方次第で面白くなる音源だと思います。
The Grandeur
伝説的で正統派コンサートグランドをサンプリングした音源だそうです。楽器メーカー名を言えない事情は察するとして、個人的には好きなピアノ音源です。
ピアノのキータッチに素直に反応してくれて、低音はガーンと弾けるし、繊細な指のタッチにも反応してくれるし、弾き心地がいちばん自分には合っているなと感じる音源です。音もかなり抜けのいいピアノの音で、グランドピアノの音が欲しい時はこれを使います。
僕の中では、Alicia's Keysの次に使用頻度が高い音源です。
The Maverick
1905年にプロイセン王国王子のために製作されたピアノの音をサンプリングした音源です。
グランドピアノなんですがThe Grandeurのような抜けのいい音ではなく、くっとまとまる大人しい音のピアノ音源です。しっとりとした曲のメロディや、寂しさや大人の雰囲気を出したいときに使うといい感じのピアノ音源だと思います。
Una Corda
上で紹介したThe Giantのピアノの制作者David Klavinsが作ったピアノのサンプリング音源です。
弾いた感じなんですが、上から下までフラットに弾けてバランスがいい音だと思います。サンプリングした音は3タイプあり、素の音、フエルトを挟んだ音、コットンを挟んだ音で、それをNIらしく変態的な音に仕上げたプリセットもあります。
この音源も、純粋なピアノを楽しむというよりは、どこまで面白い音を作れるか遊べるピアノ音源だと思います。
エレクトリックピアノ & オルガン
ここからはエレピとオルガンの音源紹介になります。古いkompleteのエレピ音源がなくなったので、なくなったエレピ音があります。今後出てくると思いますが、古い音源をお持ちの方はキープしておいてください。
Alicia's Electric Keys[Ul,Co]
アリシアキーズが持つYAMAHAのCP-70という昔のエレピをサンプリングした音源です。昭和のライブ映像とかではよく見る楽器だと思います。
再現度はすごく高くて、あのエレピの音が欲しい!って人にはいい音源なのかなと思います。音を聞いたことがない人も多いと思いますが、他のエレピよりはピアノ成分多めだけど、エレクトリックなニュアンスがあり、微妙なピッチのズレが作る独特の暖かさがあります。
いい音源だけど、僕の音楽で使うことがあるかなという感じです。
NIなので、これもいろんなエフェクトを加えたプリセットがあり、いじることができます。
Electric Keys - Diamond
1967年製のローズ系エレピが奏る音をサンプリングした音源です。こちらはかなりビンテージ感のある丸い音なので、いかにもローズって感じの音が欲しい時は、こちらを使うのがいいと思います。
Electric Keys - Phoenix
こっちもローズ系でMark1とか、それ以降の機種をサンプリングしたんじゃないのかなと思ってます。Diamondとくらべると、こっちの方がくっきりした音もあるので、ヴィンテージ感を少し抑えてもローズっぽくて使いやすい音が欲しい時には重宝すると思います。あとクラビっぽい音やウーリッツァーっぽい音も少しあります。
2つ出すならウーリッツァーを出して欲しいなと思ったら、2025年にNIが出してきました。次のkompleteが楽しみです。
Vintage Organs
HamondがB-3、C-3、M-3の3機種。赤色が特徴のVox Continental II、あんまり使ったことないグレーっぽい色とガッチャンボタンが特徴のFarfisa Compact。5機種の音をサンプリングしたオルガン音源です。
かなりヴィンテージなオルガンサウンドで、昔のロックバンド風の曲を作る時に入れるとピッタリハマるなという音が多いです。個人的にはエレビの方が好きなので出番は少なめですが、一度、かっこよく登場する曲を作ってみたいです。
ウーリッツァーとクラビがないんですけど!
需要が多いローズとオルガンは新しくサンプリングされて登場しましたが、個人的に好きなウーリッツァーとクラビがバンドルから消えました。ウーリッツァーの方は2025年にで出たので、次はクラビも新たに出してくれるのではと期待してます。
その2つ以外は、ピアノ・エレピ系音源は新しくなって洗練されてきたと思います。
使いやすくて面白い音源も多いので、ぜひお持ちの方は使ってみてください。
Komplete15 standard
Komplete15 Ultimate
Komplete15 Collector's Edition