今回もkomplete 13 ultimate全音源レビューをはじめたいと思います。まずはクラッシック・シネマティック音源から。今回もかなり補強されたのはこの部分です。クラッシック系ではNI初のバイオリンソロ音源。シネマティック系では、声やサンプリングした音を組み合わせて効果的な音を作る音源です。今回は新しい音源を前半に、後半は昔からある音源を再度使ってレビューします。
目次
- 1 【NEW】STRADIVARI VIOLIN
- 2 ACTION STRINGS
- 3 ACTION STRIKES
- 4 EMOTIVE STRINGS
- 5 SYMPHONY ESSENTIALS – STRING ENSEMBLE
- 6 SYMPHONY ESSENTIALS – BRASS ENSEMBLE
- 7 SYMPHONY ESSENTIALS – BRASS SOLO
- 8 SYMPHONY ESSENTIALS – WOODWIND ENSEMBLE
- 9 SYMPHONY ESSENTIALS – WOODWIND SOLO
- 10 SYMPHONY ESSENTIALS – PERCUSSION
- 11 【NEW】MALLET FLUX
- 12 【NEW】MYSTERIA
- 13 【NEW】PHARLIGHT
- 14 【NEW】STRAYLIGHT
- 15 THRILL
- 16 RISE & HIT
- 17 KINETIC METAL
- 18 KINETIC TOYS
- 19 EVOLVE
- 20 EVOLVE MUTATIONS
- 21 EVOLVE MUTATIONS 2
- 22 komplete シネマティック音源まとめ
【NEW】STRADIVARI VIOLIN
今回一番よかったかなと思う音源。有名なヴァイオリン「ストラディバリウス」のサンプリング音源です。サンプル数が多いからか、かなりリアル。アーティキュレーションも基本的なものをそろえていて、簡単にキースイッチで切り替えて使えます。さらっと打ち込んだだけでもヴァイオリンの雰囲気が醸し出せるので、追い込むとリアルなバイオリンにかなり近づきます。komplete Ultimateの上位版collector's editionは、チェロ、ビオラもあるそうです。
ACTION STRINGS
刻みやアルペジオなどストリングスのリズムパターンを簡単に作れる音源です。画面上にある譜面に選んだリズムパターンを表示。キースイッチで組み替えることで、理想の伴奏を作っていきます。音はド派手なストリングス音源なので、EDM的なシンセサウンドの中に入れても埋もれません。オーケストレーションにこだわって作りたい人には向きませんが、音ネタでは満足できない、ここイジって入れられたらなあ、と思う方にはぴったりだと思います。
ACTION STRIKES
ハンスジマーや澤野弘之のようなド派手な太鼓系のリズム。それらを簡単に作れてしまう音源です。ACTION STRINGSと同様、画面上にある譜面に書かれたリズムパターンをキースイッチで切り替えて理想のリズムを作ります。それぞれの楽器のワンショットもあるので自分でリズムを作ることも可能。パーカッション音源としても使えますが、いじって調整できるループ素材と考えると使い勝手のいい音源だと思います。
EMOTIVE STRINGS
ACTION STRINGSは、刻み系の音が得意だったんですが、こちらはレガート系のストリングスパターンを作れる音源です。譜面に書かれたリズムパターンをキースイッチで切り替えて作るタイプ。バラード系のストリングスなんかで使いやすいかなと思いますし、パターンを選べばメロや裏旋律も作れます。個人的には、別のストリングス音源で打ち込むことが多いので、あまり使わないのですが、ループ素材中心で作る方には、ある意味重宝される音源だと思います。
SYMPHONY ESSENTIALS – STRING ENSEMBLE
SYMPHONYシリーズのストリングスパート音源の簡易版です。Violin1、Violin2、Viola、Cello、Bassesの各パート、そして全部の楽器がなるEnsembleを収録していて、フルオーケストラに対応しています。音はそこそこいいので、特殊な奏法が必要なければ十分でしょう。無印のkompleteを持っている人で、ちょっとオーケストラを作りたいなという人は、これを目当てにバージョンアップしてもいいと思います。
SYMPHONY ESSENTIALS – BRASS ENSEMBLE
SYMPHONYシリーズのブラスパート簡易版です。Trumpet、Trombornes、Horns、Tubasの各パートと、全部の楽器が鳴るEnsemble。トランペット音がややシンセっぽいかなとも思ったのですが、全体を混ぜるといい感じになります。残響音が多いのでホーンセクションなんかには向きません。あくまでオーケストラの中で混ぜる音源です。
SYMPHONY ESSENTIALS – BRASS SOLO
Brass EnsembleのSoloバージョンです。やはりトランペットの音がややシンセっぽいです。他のパートはまあまあいいのですが。これも残響音が多いので、オーケストラの中で使うソロパートだと思います。オートメーションを書かないとシンセっぽいので、簡単音源ではなく、作り込んで使う音源ですね。
SYMPHONY ESSENTIALS – WOODWIND ENSEMBLE
SYMPHONYシリーズの木管アンサンブル音源簡易版です。Oboes、Flutes、Clarinets、Basoons、saxophonesの各楽器と、低音楽器のBass Winds、全部の音がなるEnsemblesです。クラリネット、フルートなんかはいいんですが、オーボエとサックスは単体で聞くとイマイチなんですが、混ぜたらいい感じなんですよね。映画音楽だと木管は味付け程度にしか聞こえないことも多いので、そういう使い方をする分にはいいと思います。
SYMPHONY ESSENTIALS – WOODWIND SOLO
Woodwind EnsembleのSoloバージョン簡易版です。低音楽器のBass Windsがなく、Contrabassonが入っています。これもサックスがイマイチですね。というかサックスで良い音源ってAudio Modelingの音源くらいしか思い浮かびません。ただオーケストラの中で鳴らすといい感じにハマる音なので、うまく混ぜて使うといいでしょう。
SYMPHONY ESSENTIALS – PERCUSSION
バスドラ、スネア、シンバル関連から、シロフォン、グロッケンまで、18種類のパーカッションがあります。基本打楽器系のサンプリング音源はそんなにハズレがないので、普通に使えます。他のクラッシック音源と混ぜて使ってみましたが、結構楽しかったです。SYMPHONY ESSENTIALSの中ではかなり使った音源です。
【NEW】MALLET FLUX
シロホン、ビブラホンなどマレットで叩いて音を出す楽器のサンプリング音源です。NIですから普通にその楽器の音だけではなく、サンプルを混ぜてエフェクトを掛け合わせた独特の音作りをしています。最近、オーケストラの音にシンセやエフェクトを混ぜていくスタイルが流行っているので、そういう音楽には最適です。また歌ものでも、ワンポイントで活躍の場がありそうだなと思います。
【NEW】MYSTERIA
こちらもエフェクトがバリバリかかったボーカル・コーラス音源。仮面が2つあるところからわかるように、サンプル同士を組み合わせて人の呻き声が不協和音で混ざり合います。真ん中のコントローラを動かすとさらに恐ろしい声に変化。映画の怖いシーンなんかに最適です。新音源レビューからさらに使ってみたんですが、意外に歌物の背景なんかでも使えそうなものもあります。プリセットが大量にありますので、じっくり聞いてみてください。
【NEW】PHARLIGHT
こちらもボーカルをサンプリング&加工して効果音やパット等にした音源。MYSTERIAは不協和音で恐ろしい感じですが、こちらは音楽的に使えます。リード的な音もあるし、壮大な雰囲気のものもありますが、エフェクトで加工したシンセ的な音なので、リアルなコーラスって感じのものではありません。不思議な世界から情緒的な世界まで表現できそうな音源です。
【NEW】STRAYLIGHT
こちらはアンビエントな雰囲気を出す音源。SFからスリラーまで幅広く使えると宣伝文に書いていましたが、まさにその通りだと思います。こちらも映画やゲームの効果音などで使うことを想定しているようです。パット的な音で音色の変化をLFOみたいなものでつけてるので、これにサイドチェインかませば、EDMでも使えるんじゃないかと思ったら使えました。ただ音が完成品で厚いのでフィルターで削ることも考えた方がいいでしょう。
THRILL
謎が深まる、忍び寄る殺人犯、ゾンビに襲われる。そんな恐怖シーンで使われる音を簡単に作れる音源。MYSTERIAと組み合わせたら、ちびりりそうになるくらい怖いかも。音はStrings、Brass、Woodwinds、Percussionなどのオーケストラ楽器やアンビエント系、ヴォイスなどを加工した音などがあります。サンプルを選んで、あとは鍵盤とXYpadで動かすだけ簡単に目指す音が作れると思います。
RISE & HIT
登場シーンや瞬間移動などの効果音に使える「ジョワ〜」とか「シュッー」という感じの音がする音源。これが出てからビルドアップに必ず放り込んでいます。様々な音の組み合わせのビルドアップが入っていて、タイムを伸ばしたり、加工したりするのも簡単にできてしまいます。シネマティックのくくりでNIでは入っていますが、EDMなんかでも使えるので買ったら試しに使ってください。主張が強いので少しフィルターで調整した方が良い時もあります。
KINETIC METAL
金属を弾く、叩くといった音が中心の珍しい音源です。可愛いオルゴールのようなデザインですが、結構ハードな音も含まれています。ちょっと金属系の硬い音やキラキラした音が欲しいなと思った時に、探して使ってます。このあたりの音をシンセで作るのは結構大変なので、重宝しています。
KINETIC TOYS
おもちゃ系の音で可愛い音や不思議な音が入った音源です。可愛い曲のイントロなんかに使えました。音源をパッと見た感じどうやって操作するんだろうと思いましたが、ロボットや人形のオルゴール、おもちゃなんかを動かすとエフェクトなどをコントロールできるんです。ざっくり気に入った音を選んで、直感的に音を操作していく感じですね。面白いことができます。
EVOLVE
劇伴とかに使えるパーカッションやループ、効果音系が入ってます。使ったのは一度だけで、なんか寂しいなと思った曲に、ペラペラと音を聞きながら探して、裏でパッド的な音を使ったくらいでしょうか。曲作りで積極的に作っていくという感じではありません。音作りがそんなにいらないNIらしい効果音ループって感じなので、劇伴など作る人は音を聞いてみるといいかなと思います。
EVOLVE MUTATIONS
EVOLVEの進化版という感じです。EVOLVEよりは曲でも使える音が多い感じがしますが、やはり劇伴などで使うパーカッションやループが多いです。Kompelte kontrolを買ってから音源に関わらず音が選べるようになり、たまに使うくらいですね。これを使いこなしている方の話はあまり聞きません。
EVOLVE MUTATIONS 2
EVOLVE MUTATIONSのさらなる進化版です。同じように劇伴などに使うものだと思うのですが、僕が好きな押し出しの強い音があるので、ハードな印象を出したい曲に何回か使ったことあります。前二つは雰囲気や印象を作る音に対して、パワフルで主張の強い輪郭のあるシンセ音が使いやすいです。
komplete シネマティック音源まとめ
全体的に仕事で使う人がうれしい音が増えた印象です。バンドサウンドや歌モノだけ作る人にはいらないものが増えたかもしれません。ただ本格的なオーケストレーションを書きたいというのであれば、上位機種もしくは、Spitfire Audioなどのクラッシック専用音源がいいでしょう。NIユーザーは本格的なオーケストレーションを入れたいというよりは、ちょこっとクラッシックの音が自分の曲に欲しいという方がほとんどだと思います。キースイッチで操作できるので扱いやすさはNIならでは。打ち込み次第では、ただの廉価版音源以上のチカラを発揮します。
またループ素材を使って作るトラックメイキング的な作曲方法を撮る人は、逆にNIのソフト音源はかなり重宝すると思います。自分の音楽スタイルに合わせて、ぜひ使ってみてください。
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