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初心者歌い手さん必見の本「歌は録音でキマる!」レビュー

マイクは買った。オーディオインターフェイスは買った、さあ録音だ!ということで録音するものの思い通りに行かないことっていっぱいありますね。
僕はネットを経由して依頼したボーカリストさんに歌っていただきくこと多いので、自分で録音はあまりしたことなかったのですが、最近は自分の歌も録音するようにしてスキルアップをはかっています。
そんなときに出会ったのが「歌は録音でキマる!」という本です。かなり内容がよかったので、今回ご紹介したいと思います。


筆者は超有名エンジニア&プロデューサー

書いてる方は伊藤圭一さん。自身のスタジオをお持ちなだけでなく、洗足学園音楽大学の教授でもあります。現場も教育も知り尽くした方の本なので、専門的なことが非常にわかりやすく、しかも丁寧に書かれています。
プロが秘密にしたいような技も書かれていたりするし、初心者歌い手さんもこの本を読むだけで、DAW付属のプラグインでも自分の歌をトリートメントできるようになると思います。

ボーカル録音の基礎が学べる

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ボーカル録音するときはライブのようにパフォーマンスするわけではないので、歌いやすい声量を出し、適度にマイクとの距離を保ち、ゲイン調整などを行わなければなりません。そのために重要なのは意外にも聞く方だったりします。
この本ではマイクの選び方やセッティングだけでなく、ボーカリストに歌いやすいモニター音とは何かということを丁寧に解説されています。正直、モニターの音にはこだわってなかったので、勉強になりました。

日本語を活かしたボーカル編集

英語と日本語の違いや文法なども研究されていて、そこから導かれる歌でのポイントについて書かれています。歌詞を書くとついつい日本語優先になるんですが、曲のどういう部分に盛り上がる言葉を入れるのか、といったことにも参考になりました。
また日本語の特徴を活かしてボーカルトラックを選んだり、編集をされているそうで、この部分はボーカロイドでしか曲を作らない人にも非常に参考になると思います。

エフェクト・プラグインの使用方法

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どういうエフェクトを使っていて、ボーカルではどういう処理をしているのかということが公開されています。
特にEQやコンプの順番はきになるところですし、最近は簡単ミックスソフトの登場でついつい忘れがちになっていることを、再認識させられました。
初心者の方はプラグインをDAW付属のもので調整すると思います。説明では有料のプラグインが中心になっていますが、付属のプラグインでも代用できますので、非常に参考になると思います。

ダブリングやピッチ補正についても

基本ピッチ修正するなら取り直した方がいい派の方ですが、やはり録音後にきになるときは、ピッチ修正を効果的に使うそうです。ただ全体にピッチのあっている曲はかなり気持ち悪い曲になってしまいますので、ある程度のポイントに絞って使うといったノウハウが書かれています。
また2つのボーカルトラックを重ねるダブリング等、よく使う手法のコツも書かれているのもいいところでした。

録音から編集までを自宅で再現できる良書

技術的なこと、音楽的なこと、そして心理面のことなど、ボーカル録音に関するプロのテクニックとノウハウがぎっしり詰まった一冊でした。
テクニックだけ書かれている本はたくさんあるんですが、音楽的なことまで含めてボーカル録音とはどうあるべきか、ボーカル編集はどうあるべきをかを書かれている良書だと思います。
ぜひボーカル録音でお悩みの方は、一度読んでみてください。


“参考記事”
“音質アップしたり歌い手さんにオススメの機材”

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