曲ができても意外に困るのがアレンジだったりします。例えば歌モノのアレンジで特に気にするのは、コード進行と伴奏の楽器やリズムだと思います。コード進行は結構いろんな本が出ているのですが、各楽器をどういう風に打ち込んでいったらいいのかとか、最初はわからないですよね。そんなときに役立ったのが、この本、「アレンジャーが教える編曲テクニック99」です。今回はこちらをご紹介していきます。
簡単なジャンル別ガイダンスがある
この99シリーズはすべてにおいて初心者向けです。ですので極めたい人には不向きですが編曲への最初の一歩と考えると大変効果が高くなります。アレンジの具体例に入る前に、ロックやバラード、エレクトロからトランスまで、いくつかのジャンルのアレンジの基本と参考曲が紹介されています。何か一つのジャンルの曲を作りたいと思っていても、いろんな音楽やその編曲パターンを聞きながら学ぶことは大切。違うジャンルだと全く聞かないということもあるので、僕は全部聞いて作り方を学びました。
実践テクニックは楽器別の伴奏重視
編曲の本だとリハーモナイズ(ハーモニーを付け替えること)なんかから始まることが多いのですが、こちらは楽器別の伴奏やリズムを中心にして説明しています。実際やってみるとわかるのですが、ハーモニーを変えるより、伴奏のリズムやギターのリフを変えた方が、圧倒的に音楽が変わります。そういうポイントの美味しいところがのってる感じです。ピアノのバッキングでバラード、8分、16分リズム違いで解説したり、ギターはリフやカッティングをアルペジオなんかを解説しています。バンドをやっていない人にはギターのバッキングはわからないし、ロックバンドをやっていてピアノのバッキングが作れない人もいたりしますよね。そういうよく使われる楽器を厚めに解説しつつ、ストリングス、ブラス、コーラス、ベース、なんかのアレンジ方法を解説していますので、一挙に複数の楽器についての基礎的知識が得られます。
おろそかになりがちな曲の構成も
歌モノだとA、B、サビの繰り返しでいいいや!と思ってしまいますが、そこにちょっと一工夫するだけで聞き飽きない仕組みを曲に入れることができます。まずは王道の構成を解説しつつ、そこから、何をすれば構成がよくなるのかということが説明されているのでわかりやすいです。こんなことでも変わるんだと思ったのは、トラックの抜き差し、2番のサビではガバッとあれを抜いて、みたいな思い切ったことができたりしますよ。ここだけでも読む価値ありです。
困った時の奥の手
ノイズを生かすとか、音色を変えるとか、ずらすとか、マンネリ化したり行き詰まったときに、突破できるアイディアが書かれています。ここは少し少なめなんですが、楽曲の分析や時代性についても書かれていたりするので編曲への知識を高めつつ、継続してチャレンジしていけるモチベーションアップにつながります。
まとめ
全体的にコード進行より楽器ごとのリズムやバッキングについて幅広く解説した本です。この本で学んだことで、もっと詳しく知りたいことを、違う本で学ぶといいと思います。また最後に録音やエンジニアさんとの意思疎通などについても書かれていて、DTMの先の音楽づくりが少し見えてくるようになっています。作曲ほ本と同じく、次は何を学ぶべきなのかがわかる編曲テクニック99。ぜひ一度読んでみてください。